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珈琲を焙煎してたら恋琲になっていました  作者: エンザワ ナオキ


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第18話 田嶋兄妹

 店長がついに真実を俺と蜜柑みかんに話してくれる。


「このことはね、健太くんからの依頼だったんだよ」


「田嶋先輩からの依頼??」


 俺は、まさか田嶋先輩からの話とは思わなかった。

 田嶋先輩は、妹の桃果とうかちゃんには過保護であり、自信をなくしてしまう可能性があることを率先するとは思えない。


「健太くんはね、桃果さんの本当の姿をみんなに見てほしい欲しいと思ったんだと思う」


「本当の姿??」


「そう、桃果さんの料理人としての拘りと、大きな敵と対峙しても負けない努力をする姿をみんなに見て欲しい」


 なんとなく、田嶋さんが言いたいことはわかる。

 桃果さんとは、少ししか関わりはないが、最初の印象は、少し自信がないのかと思っていた。

 しかし、それはただの第一印象に過ぎず、慣れていくうちに、桃果ちゃんの料理に対する、努力や拘りはたくさん感じた。

 

 ――毎日のように試作品届けてくれたもんな


 喫茶店と自宅を往復するのは、なかなか大変だったであろう。

 

 その姿は蜜柑を見ており、みかんも何回か摘んでいた。 

 

「確かに、桃果ちゃんは対決に備えて、念入りに準備してたもんね。最初の印象じゃ全くわからないよ」


 蜜柑にも、自信を持って作る姿はキラキラと写っていたようだ。


 料理対決は負けたかもしれない。

 ただ落ち込まずに、次の料理に対して前向きに考えている。


 ただ、俺は思った。


「田嶋先輩は焦りすぎじゃないですかね。多分、何日、何十日も同じ時間働いていたら、きっと本当の姿は見れたと思います。ひょっとしたら、先輩も見たことのない姿も見れると思いますよ」


 あれだけ、自分をしっかりと持っている桃果ちゃんであれば、きっとすぐに本来の姿は見れただろう。


 ただ、田嶋兄妹の絆は感じた。


「そういえば、田島先輩は対決期間中、一度もシフト入ってませんでしたね」


 対決が決まった1週間、田嶋先輩の姿は無かった。


「あぁそれはね……」


 店長が、田嶋先輩の欠勤の理由を話そうとすると、遮るように蜜柑が話し始めた。


「つばさくん? きっと田島先輩は、桃果ちゃんの事を思って、兄貴に頼らなくても出来るんだ! って姿を見て欲しかったんだよ。そうですよね、店長」


 蜜柑が田島先輩の意図を読んで、店長の代わりに話したかわ、その内容は納得できる理由であったが……


「ただの、試験期間みたいです……。毎日のように電話来てました」


 電話だけではなく、俺より先に試食はしていたみたいだ。

 蜜柑は、予想外の回答に唖然としていた。


「田嶋先輩の心配性も直した方が良いですね……」


 俺がそういうと、店長と蜜柑が小さく頷いた。



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