表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
珈琲を焙煎してたら恋琲になっていました  作者: エンザワ ナオキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/25

第14話 雫の料理講座

 蜜柑みかんと田島先輩の妹の桃果とうかちゃんが、喫茶『alive』で働き始めて2週間が経とうとしていた。

 蜜柑は、バイト経験も豊富であり、順調に仕事に慣れていく。

 一方、桃果さんも少しずつではあるが、仕事に慣れて来ている。


 そう言う俺もまだ2ヶ月も経っていない。

 初日は大失敗であったが、その後はミスは少なくこなせている。


 そんな6月下旬の出来事である。


 今日は、店の定休日であったが、俺と蜜柑と雫ちゃんと桃果ちゃんは、店に呼び出されていた。


「今日は、つばさくんと桃果ちゃんにこの料理を学んでもらいます」


 どうやら、店長から雫ちゃんに2人に店の料理の作り方を覚えて欲しいとのことであった。

 俺は家でご飯も作っており、桃果ちゃんは料理学校で学んでいる。ある意味、適任である。


 ちなみに蜜柑は、コーヒーの淹れ方を学ぶそうだ。


「つばさくんと桃果ちゃんは、何系の料理が得意とかある??」


「うーん、俺は揚げ物とかは全くしないな。油の処理が面倒だから。焼く系と圧力鍋で作るものは、よく作るかな」


「わ、私は、料理全般作るの好きです。特にデザート系は好きかも……です」


 雫ちゃんが、2人の得意分野をメモしていく。

 そして、少し悩んだ結果、結論を出した。


「つばさくんは、メイン料理。桃果ちゃんは、料理学校にも通ってるし、全般の料理を覚えてもらいます。」


 その判断は正しい。

 俺はデザート系の料理は全くしたことがない。


「じゃあ、まずはうちの看板メニューのカルボナーラの作り方を教えます」


 雫ちゃんは、材料を取り出した。

 俺は基本、ウェイターとして仕事をしていたため、あまり料理姿を見たことがなかった。

 流石の手際の良さであった。具材を買っても全て一定のサイズである。


「この生クリームは〇〇グラム入れて」

「チーズは大さじ〇杯」 

「卵黄は〇個入れて」

 

 レシピを丁寧に説明してくれた。

 そして、雫ちゃんのサンプルのカルボナーラが完成した。


「こう言う感じに作ります。では、作ってみてください」


 俺は、自身はなかったが、見よう見まねで作り始めることとした。

 まずは具材を切っていく。

 しかし、雫ちゃんのように、野菜やベーコンのサイズを一定に切れない。


「つばさくん? ここはね、こうやってこうするの。そうすると一定に切りやすいよ」


 雫ちゃんは、丁寧に料理指導をしてくれた。


 ――頼れます。雫先生!


 苦戦する俺とは対照的に、手際良くカルボナーラを作っていく、桃果ちゃん。

 雫ちゃんも、言うことがあまりなく、完全に俺に付きっきりである。


 そして、悪戦苦闘しながらも、俺は初めてカルボナーラを作り上げだ。

 そして、俺と雫先生は、一口食べた。


 ――味が薄い……


 レシピ通り進めたが、明らかに味が薄く、何か物足りない。

 そして雫先生は、「黒胡椒、オリーブオイルが足りてないね」と原因を特定した。


 改めて食べると、劇的に改善した。

 

「わ、私も出来ました」


 続いて、桃果ちゃんのカルボナーラも出来上がった。


 そのカルボナーラを試食をする俺と雫先生。

 2人は目を合わせて「美味しい」と感想を述べた。


「よ、良かったです!!」


 桃果ちゃんは、安堵していた。


「桃果ちゃん、流石だね! 今度、新メニュー提案してみたら??」


 雫先生が、桃果ちゃんをベタ褒めしている。

 確かに新メニューを考案した方が、桃果ちゃん自身のスキルアップにも繋がるだろう。


「え、こ、今度考えてみます」


 意外にも桃果ちゃんは、新メニュー作りに前向きであった。


「ちょっと待ったー!!」


 カウンターで、蜜柑へコーヒーの作り方を教えていた店長が、厨房へ入って来た。


「新メニューを作るなら、イベントを開きたいと思います!!」


「イ、イベント??」


 新メニューとイベントに何の繋がりがあるのか、俺たち3人は困惑した。


「浦島さんと桃果さんに新メニューを考えてもらい、評判が良い方を店のレギュラーとします」


「なるほど……」


 俺は返事はしたが、理解は出来なかった。


「全く店長は何言ってるんだかね」


 と言いながら、2人の方を見ると目が燃えていた。

 料理人のプライドが燃え始めていたようだ。


「りょ、料理対決……いいですね! 浦島先輩、ま、負けませんよ?」


「受けて立ちましょう! 私も負けないよ?」


 こうして、1週間後に料理対決が開かれることが決定した。

 2人はどのような新メニューを考案するのか、俺と店長は楽しみになっていた。


 しかし、忘れてはいけないこともある。

 そう、俺たちは料理教室の真っ最中であった。


「あの、その前に店の料理の作り方を教えてくださると……」


 俺は、当初の予定を忘れていそうな2人に問いかけた。


「あ、そうだったね! 続きをはじめます」


「わ、忘れるところでした……お、お願いします」


 再び、雫先生の料理講座は再び開かれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ