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#2

 そういうわけで、僕が絵描きになる夢を捨て去るまでに長い時間はかかりませんでした。


 大人たちときたら、自分たちだけではなにひとつ分からないのです。


 始終、これはこうだと丁寧に説明してあげても、頭ごなしに否定されたり、適当にあしらわれたりするだけなので、子供は次第にくたびれてきてしまうんですね。


 仕方なしに絵に対する情熱を揉み消した僕でしたが、木に対する愛情をはじめから無かったことにするのは、やっぱりどうしても無理でした。


 そこで僕は、中学に上がると同時に、町のあちこちの図書館に通い詰め、果樹の栽培方法について自分なりに勉強しました。


 そして、十代後半から二十代前半までの間にコツコツ働いて貯めた資金を元手に、地元の平野の隅に捨て置かれていた両親の耕作放棄地を引き継ぎ、土地に一から手を入れ直して、新たに果樹の苗を植えました。


 僕はかねてからの念願だったブルーベリー農園を開園したのです。

 

 しかし、理想と現実とはなかなかどうして大きく乖離しているものです。農園の運営は、特に最初の頃は本当に一筋縄ではいきませんでした。


 望んでいた収穫量を得られなかったり、反面、ようやくまとまった量の果実を確保できるようになったと思ったら、今度は思うように売れなかったり。


 ことあるごとに様々な壁にぶち当たり、その度に挫けそうになりました。


 あの頃の僕ときたら、嵐の大海原を、ボロボロのイカダで難破しているような毎日でした。


 次々に襲い来るピンチをどうやって切り抜けたのか、今になって振り返ってみても、まるで思い出せないのです。きっと、それほどまでに五里霧中だったのだと思います。


 だけど、三年、五年、十年としぶとく農園を続けていくなかで、思い描いていた構想は少しずつ形になり、今では一緒に夢を追いかけてくれるパートナーもできました。


 もちろん、まだまだ理想からは程遠い四苦八苦の毎日ですが、それなりに楽しく、慎ましく、何とかやっていけるようにはなれたのです。


次回へ続く

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