表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

令嬢と秘密のベランダ

 ベリンダは侯爵令嬢でありながら、王太子の婚約者という重責を背負っていたが、小さな幸せを大切にする心を持っていた。


「ベリンダ、大丈夫? 元気出して!」

「ほらほら、宙返り~」


 キラキラした鱗粉をまとう妖精たちが、ベリンダを元気づけようと踊っていた。


「ありがとう、皆。大丈夫よ。私は恵まれているわ」


 ベリンダは微笑み、ベランダの椅子に身を預けた。

 小さなテーブルにはお気に入りのコーヒーとチョコ、周囲には集めた植物が並び、珍しい花には妖精たちが集まっていた。

 この憩いの時間が、彼女の心の支えだった。


 -


 幼い頃から自由を制限されてきたベリンダにとって、ベランダは唯一の安らぎの場。


 だが、王太子には「面白みのない女性」と映り、邪険に扱われ続けていた。


 ……そして、


「面白みのないお前とは婚約破棄だ! この可愛くて笑顔で俺の心を癒してくれるマーガレットを俺の新しい婚約者としよう!」


 王宮の夜会でそう告げられたベリンダは、何も言い返さず、家のベランダに逃げ込んだ。


 ベランダでは大事にしている花が咲き乱れ、妖精が遊んでいる。


「ベリンダ、どうしたの? 大丈夫?」


 妖精が、ベリンダに寄ってきた。


「私は面白くもないし可愛くもないのよ。だから殿下に捨てられてしまったの」

「じゃあ、ベリンダは拾って良いの?」


 ベリンダの言葉に妖精が無邪気に尋ねる。

 ベリンダの頬には涙が伝っていた。


「泣かないで、ベリンダ。妖精の国で楽しく暮らそうよ」


 妖精たちは彼女を囲み、光を降らせながら優しく誘った。


「行こうよ、ベリンダ。苦しいことも悲しいこともないよ」


 -


「ベリンダはどこだっ! 側妃にして政務をやらそうと思ったのに話の途中で逃げ出して!」

「ねえ、いいじゃない。ベリンダなんて。他の人に仕事をやらせればいいんだってー」

「そうはいくか!」

「えー?」


 翌日、王太子が侯爵家を訪れるも、ベリンダは跡形もなく消えていた。

 屋敷中が騒然とする中、突如妖精が現れた。


「あんなに頑張ってたベリンダ捨てるなんておかしいね。この人で良いの?」

「何よ、この変なの?」


 突然現れた妖精に王太子に張り付いてたマーガレットが顔をしかめる。


 妖精はマーガレットを指し、


「他の男とも裸で仲良くしてたのにね」

「不思議な人が好きな王子様」


 と告げてケラケラ笑って消えた。


「な、なんだと!」

「そんなの知らない!」


 蜂の巣をつついたような騒ぎの屋敷の中で、更に大騒ぎの喧嘩を始める王太子とマーガレットだった。

読んで下さってありがとうございました。

もし良かったら評価やいいねやブクマをよろしくお願いします。

また、私の他の小説も読んでいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ