きっつい美女(レナード視点)
すごい美女だった。それは間違いない。
しかしだ。なぜオレを泥棒かのような目で見る?
あの日は確かどこかの侯爵家のパーティーだった。ああ、誰のパーティーだったとか、そんなことはどうだっていいんだ。大事なのは彼女と出逢った、その部分だけだ。
ローザという彼女の名前もバルツ家も、よく知らなかったオレだが、後で調べてみたらとんでもないワガママ女として名が通っていた。まぁ、そうだろうな。あの派手な容姿に嫌味な物言い。社交界じゃ嫌われるだろう。
最初はてっきり、オレに気があると思ってたんだ。あんなにあからさまに見つめられたら、誰だってそう思うさ。でも違った。この宝石を見ていたらしい。何でもこれはローザ嬢が処分したものだとか。処分することで経済価値がうんぬんかんぬん…。
―「その宝石は領民を潤すためのもの」
彼女が言ってたことが、よく分からない。オレは領民のことなんかよく考えたことがない。この国の貴族はみんなそうだと思う。
「無駄な時間は嫌い」
オレとの時間は無駄なのか…。彼女の言葉が何だか心に刺さる。もう一度、話をしたい。
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