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夜会にて3
――見つけた…
ローザは目当ての人物を見つめる。
ジーッとローザが見つめれば、大抵の男は寄ってくるのだ。本当に男というものはしょうもない。
「またローザ様は殿方に色目を使われてるわ」
「男性に飢えていらっしゃるのよ」
「この前はリーシャ様の婚約者にも手を出されたとか」
「リーシャ様、泣いていらしたのよ」
聞こえてくる大きな陰口にため息をつく。
そもそも、婚約者がいる身で寄ってくる男が悪いのだ。
そんな男と結婚する羽目にならず、自分に感謝してほしいとすらローザは思う。
まぁ、全力で磨き上げた体を全力で露出しているので、そういう意味では罪だろう。本当に、美しいとは大罪だ…。
「私に何かご用ですか?」
男に話しかけられ、意識をこちらに戻す。
「あら、申し訳ありません。つい見とれてしまって」
「ご冗談を。麗しいローザ様が私のようなものに見とれるなど」
男はうっとりとローザを見つめ、手を差し出す。ローザは男の手を取りながらニコリと笑って男の耳元でささやいた。
「あなたじゃありませんわ。その、あなたの襟元についているわたくしの宝石に、ですわ」