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夜会にて2
何て可愛らしいのかしら。
思わず笑いがこみ上げる。
あのご令嬢方、私に何でも買えるご身分って言ったわ。その通りだもの、嫌味にもなってないわね。
真実過ぎる嫌味にクックックと込み上げてくる笑いを噛み殺す。
本当は声をあげて笑いたいが、天下のローザ・バルツ、品のない笑顔を見せるわけにはいかない。
何が原因で足元をすくわれるか分からない世界なのだ。
さてと、そろそろ目当ての人物を探さなければ。
胸元の派手なリボンをキュッと結び、胸の谷間を寄せる。我ながら素晴らしいプロポーションだ。
この格好をはしたない、品がないという人もいるが、全くかまわない。
見たくないなら見なければいいし、見たいならいくらでも見ればいい。
胸の谷間一つで物事がうまくいくのなら安いものだ。
価値観の違いと戦うつもりはない。
人でも物でも、使えるものは何でも使う。
ローザの根底はそうなのだ。
あら、やっぱり私って悪女ね。
クックックと笑いながらローザはホールへ向かった。