1/11
怒れるご令嬢
「この私にこんなものを着ろと?!」
豪華な室内に高い怒鳴り声が響く。
金髪の娘の機嫌はすこぶる悪い。
手にしたドレスを今にも破りそうだ。
「何なの?この質の悪いドレスは!!その辺の平民だってもう少し良いものを着てるわよ!!」
「しかし、ローザ様。このドレスは隣国から取り寄せた貴重なものでして…!」
顔の汗をふきふき、執事がなだめるが、ローザと呼ばれた女性の怒りは収まりそうにない。
周りのメイドたちは恐怖からか顔が青ざめており、新人メイドはとうとう泣き出してしまった。
はらはらと泣くメイドを睨みつけながら、低い声でローザは言った。
「今すぐこのドレスを選んだ者をクビになさい」
「しかし…!」
「お前、私の言うことが聞けないのね。辞めてもらってもいいのよ?代わりはいくらでもいるのだから。」
その迫力に、執事はブルリと震えるのだった。