救護室
「おい!先生、ナーヤ、大丈夫か!?」
救護室のドアを開け、聞く。
〔‘………’〕【………】
が、2人共倒れたまま返答がない。
「屍…じゃないよな?よし…大丈夫だ、息はある」
『…ねぇ、未来が居ないよ!』
「……やっぱりか」
本来未来が寝ていたであろうベッドの上にはシーツや枕しかなかった。
〜・〜・〜・〜
【うっ…】
『お、気がついた?』
あれから2人をベットに寝かせたあと、他の先生に連絡をした。
そして俺と花流は2人からなにか聞けないかと側にいた。
【う〜……む!此処は…】
「ここはベットの上だ。何があったんだ?」
【むむむ…】
状況整理をしているのか、ナーヤは少し唸り、考え口を開く。
【むぅ…確か侵入者等を片した後、先生が帰ってきたのじゃ】
─・─・─・─
〔‘ただいま〜’〕
我の従業者が侵入者を連れて行った後、先生が帰ってきたのじゃ。
【お帰りなのじゃ】
〔‘……返ってくるはずのない言葉が聞こえる……何でここに生徒がいるのよ……あとなんか壁に穴空いてない?’〕
【それは先ほど侵入者が襲撃に来た時に空いたのじゃ】
〔‘え?それやばくない?…それに2人共怪我はないの?’〕
【うむ、我も未来も無事である】
そしてこれからどう話題を振ろうかしている時、いきなりスッと窓が開いたのじゃ。
【何じゃ?】 [………]
其奴はいきなり現れた。
ツノと羽、頭には天使の輪っかみたいなのがついており、いずれも黒色であった。
其奴は口を開かず、ゆっくりフワフワと我らに寄ってくる。
【…主は誰じゃ?】 [………]
【…目的は何じゃ?】 [………]
いずれも返答なし。
【先生は下がっておれ】
〔‘う、うん’〕
我らが警戒していると、いきなり其奴は視界から消えた。
【っ!?何処じゃ!】
[………]
すると其奴は我の横に現れ、我の肩に手を置く。
それだけで我の意識は遠のいた。
そして意識が完全に無くなる前に聞こえたのが、
[─やっと手に入る─]
─・─・─・─
「何されたのか分からないのか?」
【分からん。置かれた瞬間、我の意識を持ってかれたのじゃからな】
手を置いただけで相手を戦闘不能にするのはチートすぎないか?
チート、駄目、絶対。
それと「やっと手に入る」ってなんなんだ?
未来が何かの鍵なのだろうか?
【…そういえばお主】
そう考えているとナーヤが花流に質問した。
『うん?何?』
【主の能力は付与能力で、よく物を作ってるそうじゃな】
『よくぞ聞いてくれました!……これとか─』
そういい袋を取り出す花流。
【失敗したものはどうしているのじゃ?】
そう言われた瞬間、花流の動きが凍ったように止まる。
「確かに、俺も知らないな。よく試作品とか失敗作とか見せてるがあのあとどうしてんだ?」
『あはは…あ、そういえば私用事あったんだ。
それじゃ!』
一目散に扉へ走る花流。
【 氷壁 】
その足が扉に差し掛かるとき、音を立てて氷の壁ができる。
【さて、逃さんぞ?】