混乱
パラパラッ……コツンッ
「んぁ?」
俺は石が顔に当たることで目を覚ました。
「痛ぇ…」
もちろん頭も痛いが何より左眼あたりが痛い。
そして爆発をもろに食らったので、眼帯や服のあちこちが破けている。
「……前の花流みたいだな」
ふとそんなことを思い、左眼に手をやり、ボロボロになった眼帯を外す。
すると、そこには閉ざされた目ではなく、通常の目があった。
「うわっ…思ったより酷いな、これ」
そして俺は眼帯を見ながら、「“遡行”」と呟く。
すると眼帯は、ボロボロな状態から見る見る直っていく。
「よし、治ったな。服も……よし、治った」
そして俺は“綺麗になった”眼帯をまた付けていく。
「……誰も見てないよな?」
俺はグルっと辺りを見渡す。
見つかると説明が面倒だしな。
それよりも面倒なのは
「未来か」
そう、未来が攫さらわれてしまったことだ。
どっかの馬鹿が気絶するからな。
どれだけ時間だったかわからないし、今から追っても多分間に合わないだろう。
どうしたもんかな。
「…いや、考えても仕方ないな。
まず戻って先生にこのことを言ってから、花流の様子を見に行こう」
そう考え、俺は急いで寮へ戻った。
──・──・──・──
「さて。取り敢えずどっかにいる先生のとこに行くかな」
寮に着いた俺は先生のとこへ行こうとする……がしかし、“ニャ〜”と猫の声が。
「…家の猫か?」
…気のせいか女子寮の方から聞こえるんだが?
“ニャ〜ン”
「あ、いた」
案の定鳴き声の主はクロで、あいつは寮の分かれ道にいた。
また女子寮にいかれたら困るから今の内に捕まえとくか。
あと怪我の処置せんとな。
“ピューン”
「あっ」
捕まえる前に行かれた。
待てよ…さっきクロが行った時、事件があった。
で、今また行った。
ってことは?
「ちょっっと待てーい!」
またなんかあんのか!?……今度は花琉とか!?
そして俺はまた女子寮の方に曲がった。
そこには、
『ス〜……ス〜……』
自室の前で座って寝ている花流が居た。
…が、俺はそれよりもその隣が気になった。
花流の隣……そこには暗くてよく見えないが多分…もう1人いる。
俺は少しずつ、少しずつ近づいていく。
そして、
「…は?」
なんとそこには、“先程攫われてった未来が花流の隣で寝ていた”。
驚いている中、クロはいつの間にか俺の足の下に居た。
「え?どゆこと?幻?」
一瞬、未来の偽物かと思ったが、ちゃんと未来だし、触れもする。
もう全てが謎になり、考えることを辞めた俺は、取り敢えず“収納場”から毛布を取り出し、ニ人に被せた。
その後、クロを抱き、自室へ戻った。
そして数秒後。
「そうだった……」
自室へ戻った俺は開口一番そう言った。
いつもはきれいな部屋……だが、今見ると散らかっている。
俺ちらっとクロを見る。
すると、腕からすぐに抜けて、物凄い速さで物陰に隠れた。
「はぁ〜……やるか……」
俺の部屋は大体カップ麺とか、本、物類とかがあるだけなのだが種類が少ない分、量が多い。
……が、片付けているうちに、懐かしい写真や、貰い物、“謎の血”があった。
「ん?血?」
触ってみるとまだ新しく、周りをよく見ると、“本の角”にも血がついていた。
「………あ〜〜?そういえば怪我してたね。クロ」
そう思い出して俺は隠れているクロを抱き寄せ、怪我している箇所を探す。
すると、
「あっ」
頭の方に黒色の毛と一緒になんか赤いのが見えた。
そこを触ると、手に赤色が着き、クロも“フニャ!?”
っと変な声を上げたから確信した。
「っま、そこもお前の可愛いとこか」
“ニャ〜!”
取り敢えず薬箱を──ん?
「あれ?薬箱がないんだが?」
確かにこの棚の上に置いてあったはずなのに。
「………チラ?」
“………テヘッ”
「……やったな、お前」
(このあと何とか薬箱を見つけて、ちゃんと薬を塗ってあげた)