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俺の黒猫

あの後、救護室に花流を運び、まだ終わっていない人の試合を順々に終わらせていった。

その後の俺はというと、先生の〔まぁ程々にな…〕と、花流の『しばらく実験に付き合ってね?(圧』の2つの言葉で終わった。

そして花流は治癒能力を持っている十秋とあき先生に治癒してもらい、回復。

今は先生に、

〔これで全員が模擬戦をやり、自分の実力がわかったと思う。

あとは今日の反省点を自室で考え上に行くなり下に行くなりしてくれ〕

と言われたので俺、花流、未来の3人で自室のある寮へ行くところだ。

勿論、寮は男女で別れている。

別に異性の寮に入ってはいけない…なんてルールはないので入ったとしても特に罰則はない。

ただそれはルールがないだけで、世の中には“暗黙あんもく了解りょうかい”というものが存在する。

それを破ったりでもしたら結果は言わずとも分かるだろう。

そんなことを考えているうちにそれぞれ寮へと別れている分かれ道へとたどり着く。

右が男子寮、左が女子寮。

『それじゃあ厨ニ。また明日〜』

〈お疲れ様でした。白さん〉

「あぁ、また明日〜」

それぞれ声をかけ分かれる。

俺はそのまま曲がり、自分の部屋の前へと着く。

そして玄関のドアを開け、下を見ると“待ってました”と言わんばかりの自然さでお座りをした黒猫がいた。

「ただいま、クロ。今ご飯出すからな。」

と言った。

そして俺は靴を脱ぎ、戸棚にあるクロのご飯を取ろうと部屋のドアを開けようとすると、なにか嫌な予感が。

そんなことを少し思いながら開けると…案の定部屋の物が散らばっていた。

「おー。……お前やったな?」

“……ニャ?……………………ッ?”

「……もういいや片付けんの後で」

この部屋を散らかした猫はさっき呼んだ通り、名前はクロ。

……名前安直すぎ、という言葉は置いとき理由もちゃんとある。


─・─・─・─


こいつと出会ったのは、小3の頃。

あの事件から大体2年後(9歳?)くらいだ。

その時にはとっくに1人で、もう“両親と姉、妹はもう死んでいた”。

死因はやっぱりあの事件。

親は仕事中に、姉はバイト中に、妹はその数日後、行方不明に。

…話を戻そう。

この頃、俺は学校から少し遠い小さな集落にいた。

周りには魔物に荒らされた建物や木の残骸。

が、今は魔物の姿はなく、俺はそこでよく遊んでいた。

ある日、いつも通り集落のとこで遊んでいると、1匹の小さな魔物がいた。

生まれて初めて見た魔物ったからその時逃げずに魔物を見ていた。

顔が怖いとか、人みたいとか。

…それもつかの間。魔物がこちらに気づき襲ってくる。

俺は能力こそあったが経験がなかった。

そのせいで何もできず突き飛ばされ、馬乗りにされた。

魔物が拳を上げ、「終わった」と思った時、どこからか黒猫が現れ、“ニャー!”っと魔物の顔面に猫パンチし、魔物は何処かへ走り去っていった。

この頃から俺等は一緒に遊ぶようになった。

そしてある日、遊び終わったあと、

「お前名前ないよな」

“ニャー”

ずっとお前呼びだったのに気づく。

「よし俺が付けてやろう。……俺は皆に白って呼ばれてるから……よし!今日からお前はクロだ!」

“ニャ〜!”


─・─・─・─


って感じだったなぁ。

…今思うと懐かしいなぁ。

……やっぱネーミングセンスねぇなぁ。

なぁ…なぁ…なぁ。

1人で思い出して懐かしんでいると、何故かクロが玄関の扉をガリガリしている。

「あ!!おまっ、ちょ、ドア!傷ー!」

俺はそれを止めるべく急いで抱きかかえた。

「クロ…世の中にはやって良い事と悪い事が……ん?

…お前頭少し怪我してんじゃん。血出てるし」

刹那せつな、俺の手が緩んだとき、ヒュッ、ガチャッ、キーッ、ストンッ、ササッ、っとクロが俺の腕から脱出し、その勢いで鍵を掛け忘れたドアまで飛び、取手を下げ、外に出た。

「え……何あの。反抗期なん?…俺泣くぞ」

ここで少し考える。明らかに変だった。

いつもはこんなことしない…ということは何か伝えたいことが?

…確証はないが、そんなことが脳裏に浮かび、俺は見失わないようすぐクロを追いかけた。

そしてクロは、真っ直ぐ行って右を曲がり女子寮の方へ。

俺は、(何やってんだあいつ……)と思いながら追いかける。

真っ直ぐ行き……右に曲がる。

そこで見たのは、割れている窓ガラス、近くで倒れている花流、そして、未来を担いでいる見慣れない男だった。

明らかに異常事態で、外部からの侵入だとわかる。

おい!…っと叫ぶ前に男は俺に気づき、未来を担いだまま、割れた窓ガラスから逃げる。

俺は頭を働かせ、

「クロ!近くに居る人を呼んで花流こいつを運んでくれ!」

“ニャ!(ビシ!)”

クロは俺の優秀な猫だ。多少の融通は効く。

そして俺はその場をあとにし、男を追った。

男は学校の敷地内を出て、住宅地の近くへ向かった。

俺はそれを屋根伝いに追いかけていた。

すると不意に、左眼に小さな“何か”がぶつかり、それが“爆ぜた”。

「っ!?」

その衝撃で俺は屋根から落ちた。

「いってぇ〜…」

俺は仰向け状態から起き上がろうとする。

すると同時に上を向くと……大量の“何か”が。

「ちょちょっ!」

俺はなんとか直撃は免まぬがれる。

ただ、その大量“何か”はまた爆発し、爆風までは避けられず、吹っ飛ぶ。

ガンッ!

吹っ飛び、体が壁につく。

何とか追おうと体制を直そうとすると、俺の前にまた“何か”が飛んできて俺にぶつかり、爆ぜる。

トドメと言える一撃は俺の意識を取るには十分で…。

(最後に見たのは、未来を担いだ男と……もう一人…別の男…か?……あ〜…くそ…こんなときに…もう……)

そこで俺の意識は途絶えた。

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