学校
〔おいお前等二人〜。今日も遅刻ギリギリだぞ〜〕
あの後、教室に入った俺達はこのクラスの担任…一春先生にそう言われて席に座った。
一春先生は“結界を作り出す能力”を持っている。
その能力で学校全体に魔物が入ってはこれない結界を張ってくれている、結構重要な人だ。
〔全く…お前等だけだぞ…実力を上げて上に行きたいと思わないのか?〕
そう言われ俺達は呆れた声で
「いつも言ってるじゃないですか」
『僕達〜、そんな今すぐ上げたいわけではないので〜』
〔本当、お前等だけおかしいんだよな…。
ってか別にお前等ならもう上に行ってもいい気がするが…まぁいい。
今日はクラス内で模擬戦だ。その為、場所を移動するー〕
〚やったー〛
〚俺の今の実力なら負けないな〛
〚全員蹴散らしてやる!〛
〚血を…見れる…?!〛
〚動きたくない……殺れば動かなくて良い……殺るか…〛
〔……訂正もう数名おかしかったな。
…あとそこ、安心しろ、殺した瞬間に即異空間行きだから〕
〚もちろん分かってますって。だよな皆!!〛
〚〚〚うぉーーー!!〛〛〛
はぁ〜。っと先生はため息をつく。
ちなみに異空間行きとは、10年前では刑務所行きという意味だ。
異空間を作り出せる能力の人が、異空間へ行けるゲートを作り、そこで作られた牢屋に放り込まれる。
なぜ変わったかというと、今は能力を使って牢屋なんかぶち壊せるからだ。
でも、あら不思議。異空間の牢屋だとそんなことはほぼ無理。
まして脱獄することなど0に等しいのだ。
…確実に0と言えないのがこの世界の怖いところだよな。
知らん能力ででてきそう。
…まぁそんなことを戦闘狂達に言っても無駄で、口では返事をしていても、目がギラギラで今にも襲いそうな雰囲気を出している。
イヤー、コワイコワイ。
まぁ俺等には関係のない話だがな。
ちなみに俺達は、このクラスでもう一人の友人、綾篠未来と一緒に歩いていた。
こいつの能力は“幻術を操る能力”だ。
そしてこいつのかけている眼鏡はただの眼鏡ではなく、花流から“少し先の未来を視える効果”を付与してもらっている。
そのおかげで未来は今、中の上ぐらいの実力にいる。
何故そこなのかというと、知識はあっても力がないからだ。
…が、決して侮る無かれ。
舐めてかかると幻術に惑わされて後ろから一突きされるぞ。
しかも死なない程度だから痛いぞ。
一番怖いのって死なない程度に痛めつけられることだからな。
そんな未来は模擬戦だと〚未来が視えるのはずるい!!〛っという声が多数あったので、いつも審判をしてもらっている。
…未来が見えなくても強いけどな。
何なら上行けと言う声もある。
それに対して本人は、〈上はもっと強い〉と言い訳している。
「謙遜すんなよ」って言ったら睨まれた。怖かった。
そんなことを話している間に、場所移動が終わった。
先生は皆が揃っていることを確認し、
〔よし。全員揃ったな。ではまずルール説明だ。
…と言っても能力、剣など何でも使っていいぞ。
ただし、さっきも言った通り、間違っても殺すなよ!
…まぁ俺が結界張ってるしそう簡単に死なないと思うが…。
まぁいい。それじゃあ戦いたいやつとペアを組め〜〕
そう言って先生はベンチにより掛かり職務放k…
〔ん?お前今何か考えたか?〕
「さぁ?なんのことでしょうかネ?
気のせいじゃないですカ?」
〔そうか…それなら良いんだが…〕
「取り敢えず僕はこれで〜」
危ネ…アノ人読心術持ッテル?…何ソレコワイ。
まぁいいや。気にしたら負けだな。
『おっ!誰でもいいの?じゃあじゃあ!厨ニ!やろ!!』
「はいはい」
『フッフッフ…僕の力を見せてやる!後悔するなよ!』
「お前のこと今から三下野郎って呼んでいいか?」
それに後悔なんてしないだろ…なんて思ってると
〈じゃあ、私はこれで〉
と言い、未来は審判をするために俺達から離れた。
「おう、審判頑張れよ」
『行ってらっしゃーい』
そこから順々に試合を行っていき、とうとう俺たちの番へ。
俺は自分の能力で風の効果が付いた短剣(勿論花流に付与してもらった物)を取り出し、手でくるくると回転させる。
「さて…始めようか」
『フフンッ。僕の作ったこの道具達を存分に見せてやる!』
そう言い、花流は手のひらよりも少し小さい袋に手を入れ、絶対その袋に入るわけ無いであろう“日本刀”を取り出す。
それに対して
「相変わらず何でも入るよな。それ」
と言葉をこぼす。
そんな言葉に花流は
『君の能力も大概だけどね』
「…覚えがないね」
そして互いに出した武器を構え、
『それじゃあ行くよ?』
その言葉の後、未来が片手を上げ、〈スタート!〉と同時に手を下げた。
そうして俺達の模擬戦が始まった。