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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

つちのこうやのラブコメ (それぞれ別々にお読みいただけます)

ジェンガで負けたクラスの美少女(実は僕と付き合ってる)が好きな人を発表することになって僕の名前を言ったんだけど、みんなから「真面目に答えて?」と責められてて草

 今の様子を見てると、小学生の時の休み時間に飛ばされたような気持ちになる。


 最近の高校生は、スマホを見つつご飯を食べながら友達と話し、さらにそれと同時に慌てて課題をする……みたいな昼休みを過ごしている。


 なんか手がたくさん必要な描写な気がするけどまあ感覚的にそうなので許して欲しい。


 だけど今、教室の中心で行われていることはなにかといえば、ジェンガである。


 雨遊びの候補に小学生の時入っていた、ジェンガ。


 たしかに友達の家に泊まりにいった時(友達が少ないのであんまりないけど)とかにはやる遊びであるが、学校の教室ではあまりやらないと思う。面白いけど。


 でも今、やってるのだ。クラスの女子たちが。


 どうやらただのジェンガではないらしい。

 

 倒した人が、好きな人を言うというルールのジェンガらしい。


 やばすぎ。


 いつも可愛い女子たちが積み上がった木の塊を睨みつけてるの怖いよ。あ、でも別に変な性癖はないけどあれくらい囲まれて睨まれたら楽しそう。


 とか考えながら、昼寝の用意(歴史の教科書と数学の教科書とタオルを組み合わせた特別な高さのまくらをつくること)をしていたら、


 がっしゃーばらばら。


 と、倒れた音がした。


 あー、やっちゃった。


 で、誰が倒したのだろう?


 と昼寝に入らずに見ていたら、


 クラスではおとなしめの、だけどマジで可愛い、中松柚音なかまつゆおだった。


 ていうかこれはやばい。


 何がやばいのかというと、クラスのみんなには言ってないけど、僕と柚音は、実は付き合ってるのだ。


 いやこれはほんとで、だけどお互いあまり目立ちたがり屋じゃないから、なんとなくこそこそ付き合っているのだ。


 冷やかされたりするの、苦手だし。


 さて、柚音はどう答えるのか。


 まあ無難に好きな俳優でも言って乗り切るのが普通だろう。


 だって、ここで僕の名前とか言ったら、ええ? みたいになるでしょ多分。


 だからやめとくんじゃないかな。


「で、好きな人をどうぞ!」


幸崎智さいさきとも!」


 おおおおおい!


 それ僕の名前なんですけど!


 やばい。よし昼寝だ昼寝。おやすみー。注目されるのは嫌いなんだよ。


 …………。


 …………。


 …………。


 ん?


 ええええ⁈ みたいな反応がないけど。

 

 時間とまりました?


 不思議に思った時、女子たちの声がした。


「だめ、やり直し、真面目に答えて?」


「うん、真面目に答えてね?」


「まあー、うまい返しだとは思うけど」


 うまい返しって……あ、つまり、明らかに好きじゃないだろうなって人を言うことで、ごまかす作戦だと思われてるってこと……?


 マジかよ。一応本気で付き合ってるのに。僕と柚音。


「ま、まじめ……だよ! まじめだよ!」


 あああああ、そんなに言わなくても。


 かなり大きかった。今の柚音の声は。


 だからそれだけ、僕ってちゃんと言いたいと思っててくれてるってことで、それがとても嬉しかった。


 そして、


「え? あ、まじめ……?」


 とクラスの女子たちはびくっとした反応になった。


 それから、柚音が本当にまじめに答えているのかネタを貫き通してるのかわかんないな、といった雰囲気になって、結局ジェンガの罰ゲームは、あっさり目に終わった。



 ☆   ○   ☆



 その日の放課後、こっそりなデートを僕と柚音はした。


 喫茶店でのんびり話すだけのデート。だけどとても楽しいデートなのだ。だって好きな人とのんびりしてるんだもん。


「今日のお昼はなんか大変そうだったね」


「本当大変だったよ。だってさ、まさか私が負けるとは」


「まず負けると思ってなかったのな」


「うん、だって私結構うまいからさ」


 柚音はそううなずいた。


「めっちゃ僕の名前言ったけどあんま信じてもらえてなさそうだったけど」


「そう。ほんとに。ひどいよねー。まあこんなこそこそ放課後過ごしてるし、しょうがないかも」


「そうだね」

 

 僕は同意してから、柚音を見た。


「でもね、智」


 目があったから話すよ、と言う感じで、柚音は口を開き、続ける。


「ちゃんと有名人とかで逃げずに、智の名前言いたかったから、それは言えてよかった。……だって、いちばん、すきなんだもんっ」


「……ありがと。嬉しかったよ、めちゃくちゃ嬉しかったかもしれない」


「あ、そうなの? じゃあ、お昼寝のポーズしながらも、喜んでたんだ〜」


「そうなるな」


「あー、そういうところが可愛いからねえー。困るんだよねえ」


「困ってなさそう」


「こまってないよ?」


「なんだよ」


 会話が成り立ってないようだけど、このやりとりにして柚音の可愛さが増えてるので、成り立っているんだろう。


 そう、つまりはお互いがお互いを可愛いと思っているわけだ。


 ☆   ○   ☆


 そんな柚音と智を、可愛いと思いながら見ている集団がいた。その存在を、柚音と智は知らない。


「うほぉー、やっぱめっちゃ付き合いまくりじゃん!」


「ねねねねね。だから言ったでしょ。あれはまじめだって」


「いまふりかえるとまじめだねー」


 そう、柚音とジェンガをしていた女子三人が、少し離れたところから柚音と智を見て楽しんでいるのである。


「あー、おとなしめな二人がこっそりデートしてるの可愛すぎない?」


「あー、可愛い」


「可愛いねー」


 そんなふうに同意し合うことを何度も繰り返す三人。


 だけどそんなふうに思われてると柚音と智は知らないので、やっぱり二人はこれからもこそっとした可愛いデートをしていくのだった。


お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] てぇてぇですなぁ。。
[一言] 作中に男が出てきてないということは、女子校?つまり、これは……(血 おとなしめカップルのおとなしめデートをこっそり見るクラスメート……
[一言] 続きが気になるねぇ…(* 'ᵕ' )
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