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どうしてこうなった?

初投稿初作品です。

ブックマークよろしくお願いします。

「ごめんなさい、ゆう君」


彼女の制服が汚れている。俺の返り血だろう。


「楓、どうして…」


だめだ、もう意識を保てない。


「ゆう君、本当は………………


彼女が何か言っているかよく聞こえない。俺はこのまま死ぬのか、何で刺されたんだろう。半年間、二人でいた時間は短かったけど最高に楽しいかったのに、どうして。けどもう頭が回らないや…


こうして、井上悠17歳は生涯に幕を閉じた。






はずだった。


「っは!」


目を覚ますといつもの布団の中だ。いや、正確には夏用だが、


「俺、生きてる?」


どうやら俺は生きているらしい。しかも手首につけているMD(マルチデバイス)を確認すると


「今日は統一暦2045年9月8日って、文化祭1日目じゃないか!」


どうやら、約半年前に生き返ったらしい。

とりあえず一安心…


「出来る訳ねーだろ…」


生き返って約数秒後、彼女に殺されたことを思い出し、顔が青くなる。


「どうして殺されたんだ?あんなに上手くいっていたじゃないか?なのにどうして?」


俺はそのまま思考し続け、ある一つの結論を思いつく。


「とりあえずしばらくは様子見て行動すればいっか」


そう、俺こと井上悠は思考放棄したのだった。

正直(俺の中では半年前の)文化祭のことをあまり覚えていないので、変なことは考えずに生活しようと思う。そうやって今後の活動方針を決めていると


「ゆう、青葉ちゃんが家の前にきてるわよー。」


母さんが一階から声をかけてきた。


「青葉が?わかったよ母さん。」


どうやら長い間考えていたおかげで、遅刻気味のようだ。

幼馴染の清水青葉を待たせるわけにもいかないので、直ぐに支度をして玄関へと向かう。


「ゆう、遅いぞ」


「わりぃ、ごめんごめん」


彼女が清水青葉17歳。身長163センチでスレンダー体型である。茶髪のショートヘアーで、男っぽい性格だ。ちなみに女子バスケ部副部長。


「早くしないとC-ポットなくなっちゃうよ。急いで」


「大丈夫、最悪C-ポットに乗れなくても15分後のバスに乗れば間に合うよ」


ちなみにC-ポットというのは、四人乗りの全自動タクシーのことで、登録された都市でのみ活動しており、主に学生が利用している。バスと違い、周りを気にせず友達と遠慮なく話せるからだ。


「あんたのそーゆー所、昔から変わらないのね。可愛くないわよ」

長年一緒に居ると何となく彼女の物言いから様々なことが読み取れるようになった。

今日はどうやら機嫌がいいらしい。文化祭だからだろう。ここは一つ言い返してやるか。


「そーゆーお前も、容姿は大人になって可愛くになったけど、中身はやんちゃ坊主そのままだな」


「な、なによその言い方!まあ、今日は文化祭で機嫌がいいから許してあげるわ」


どうやら想像以上に効いたらしい。テンパっている。


「ほら、駅まで行くぞ青葉」


こうして、俺は駅へ向かった。 割と走って。

彼女は運動部レギュラー部員、対して俺は運動部補欠部員、男女の身体能力の差を考えるとほぼ同じペースで走った。


そうして教室になだれ込むように入ると、


「おふたりさんギリギリセーフですね。よかった」


ある女子が声をかけてきた。彼女はこのクラスの委員長だ。身長156センチで美人で巨乳。青葉とは正反対である。もちろん性格も。


「走った甲斐があったかな」


文化祭に遅刻するとは考えにくいので、事故にあってないか心配してくれたのだろう。


「こいつが寝坊したのよ、浮かれすぎて夜寝られらかったのかしらね」


青葉が呆れた様に答える。


「そうだったのね。井上君、あまり清水さんを困らしたらダメよ」


少しにやけながら注意されてしまったが、この完璧人で面倒見の良い委員長に言われるのは悪くない。一部の男子からは羨ましいと言うような目で見られている。


「何はともあれ、文化祭張り切っていきましょうね」


委員長の声と共にクラスが盛り上がる。俺も思わず声を出してしまった。どうやら俺は青葉に言われたとうり、浮かれているらきい。


こうして、高校2年夏の文化祭が始まった。


クラスの出し物も上手く行き、俺も友達と校内を回った。



そうして、特に珍しいこともなく文化祭3日目の終わりとなり……






「よし、今から楓に告白か〜。2回目だけど、やっぱり緊張するな」


正直朝から緊張していて何も手についてない。文化祭の片付けも先程青葉にお願いして交代してもらった。


「そういえば、楓とは違うクラスだから、この世界ではまだ話してないな」


俺は1組で楓は3組なので、あまり接点はない。

どうして好きになったのとかは、後で言うとして、


「えーと確か、楓は体育館にいたはずだから、取り敢えず一階に降りるか」


そうして、教室を出て左に曲がり階段を降りていると…


「ご、ごめんなさい」


金髪の女子と階段でぶつかりそうになった。


「大丈夫だよ、君は怪我してな…」


セリフを言い終わる前に彼女は去っていった。多分急いでいたのだろう。


「そういえば、あんな子うちの学校にいたかなぁ」


あの色の金髪の女子など一度見たら忘れないと思うのだが。

まあ、とりあえず体育館に急ごう。話はそこからだ、



そうして一階に降り、体育館へ行くと人が集まっており、


「どうしたんだ、何かあったのか?」


隣のやつに聞いてみると、


「誰かが刺されたらしいぞ、今は先生達が来てよくわからないが」


その言葉に俺は一抹の不信感を覚え、人混みをかき分けて体育館の方へ行くと…


「みんな、下がって!」


「清水さん、しっかり意識を保って!」


「あーちゃん、死なないで」


そこには、制服が赤く染まり、倒れている幼馴染、清水青葉の姿があった。


どうして青葉が…


俺は予想外の出来事に体が追いつかず、過呼吸になる。

前回の文化祭では、そんな事件は一切なかったのだから。


青葉が首を俺の方へ傾けて、


「ゆう、そこにいるの?」


声をかけてくるが、反応できない。

文化祭で浮かれて、自分が死んだことをなんとなく非現実として受け止めいたが、今再びその出来事を思い出す。悔しくも幼馴染の悲惨な姿によって。


「あんたに、言わなきゃいけないことがあるの、今すぐに」


過去を受け止め、目の前の出来事を受け止め、

ようやく意識がまともになり、近づこうとした時、


「かはっ」


青葉は血を吐いて、体が固まった。目は開いたままだ。


再び目の前の出来事に体が追いつかず、頭痛と吐き気が俺を襲う。


次第に意識が遠くなる。目の前で幼馴染が死んだのだ。無理もないだろうと第三者なら言うだろう。


くそ、何で青葉が。


俺は青葉が俺の代わりに片付けてをしたからだと思い込み、自責の念に駆られる。


そしてまた頭が回らなくなり……








「青葉!」


俺は目が覚めると同時にそう叫んだ。

しばらく過呼吸となったが、やがて落ち着き先の出来事を思い出す。

もう二度とあいつの笑う顔が見れないと考えると、胸が苦しくなる。

そう思っていると…


「ゆう、青葉ちゃんが家の前にきてるわよー」


母さんの声が聞こえる。俺は左手に常につけているMDを確認する。


今日は統一暦2045年9月8日だ。




第一章 血染めの幼馴染









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