初恋の味
少し読みづらい部分があるかもですが
楽しんでいただけると幸いです
照りひざす太陽に 蝉の声
なぜ俺らはこんなにも暑い中 学校に来てるのか
「もーまったくないぜ せっかく部活が終わったってのに補習とかよお」
「まぁ仕方ねえよ 俺達以外は楽しい夏休みさ」
「はぁ あの鬼教師めえ…あちぃよお」
ゴトン 二人で自販機で買った飲み物を飲みながら愚痴る
「はぁやっぱ炭酸は体に染みるぜえ」
「仕事終わりのおっさんかよ」
「そういうお前は まぁたコーヒーか?
ほんとに物好きだなぁ 俺は無理だな
こんなに暑いし 苦いし 」
「まぁ言われてみりゃそうだな」
「あれ?でもお前 甘党じゃないっけ?」
「…まぁ細かいことは気にすんなよ」
「そうだなー 壮亮が甘党とか興味ねえし
でも琴葉ちゃんなら知りたいなぁ
あっそういえばお前確か仲良いんだっけ?」
「…まぁな でもあいつは甘党だよ 苦いのは苦手」
「へえー」
ガラガラ「おーい!!お前らいつまで休んでんだ!!
お前らの為に俺が愛情を込めて作ったプリントはまだ沢山あるぞ!!」
「うへえ 来ちゃったよ 山ちゃん おら 壮亮いこーぜ」
「…だな」
いつだったかは忘れた
小さい頃の本当に些細な話だ
俺の家と琴葉の家は近くて
親自体も顔見知りだったのもあって
仲良くなるのにはそう時間はかからなかった
ある時の本当に些細な会話だ
「ねえ壮くんはすきなこいないの?」
「…いないよ ……琴は?」
「わたしはね壮くんのパパみたいなかっこいい人とけっこんしたい!!
もし壮くんか壮くんのパパみたいになれたらけっこんしてあげてもいいよ?」
「…なんで僕がしてもらうかたちになるのさ…
…でもそれなら やくそくしようよ わすれないように」
「いいよ!!もし壮くんがかっこよくなったら琴がけっこんしたげる!!」
小さい頃の幼馴染では定番の話 所詮は幼馴染
琴葉はきっとその約束を忘れてる
「ねえ壮亮 さっきのかっこいい男の人だれ!?」
俺は珈琲を入れながら答える
「店なんだからボリューム落とせっての …従兄だよ
たまに喫茶店に顔出しに来てくれんの」
「へえ …そうなんだ
じゃあさ ちょっと今度の日曜出掛けれるか
聞いてみてくれない?」
「えぇ…嫌なんだけど…」
「まぁそう言わずにさ 聞くだけでいいから」
「…分かったけど 期待はするなよ?」
「大丈夫 大丈夫」
全く情けない…
今日はその日曜日だ
琴葉は今頃楽しく従兄ちゃんと出掛けてるんだろうか
惨めだなぁ この歳まで初恋を引き摺るなんて
何故か言葉にできない虚しさが込み上げて
俺は手に持っている珈琲を一気に飲み干した
「やっぱ何度飲んでも慣れねえな…苦げえ…」
思わず俺は顔を顰めしまう
俺の初恋はきっと珈琲みたいに苦い味がした
健気な男の子を書いてみたくて
書いてみました
良ければ評価お願いしますm(_ _)m