47.いざ、ミカインへ!
「すごいです! ここがミカインの街ですか! 人がいっぱいですよ!」
「うるさいっスよリーシャ。一人だけ騒いで馬鹿みたいっス!」
「うるさいことに何が悪いのじゃ? どうせ歩くなら目立った方がいいのじゃ!」
「話が通じないっスね!? そういうルールじゃないんスよ!」
僕たちは、ミカインの街を歩く。すれ違う人々の視線を一点に集めながら。
「ヒソヒソ……ヒソヒソ……」
さすがは都市というだけあって、クノッサスの何倍も人がいる。流行色の服に身を包んだ人々は、不思議そうな顔をしながら僕たちを見て、ひそひそと話している。
道の横に並び立つ木造の建物の一つに視線を向けてみると、二階の窓からおばさんがこちらを迷惑そうな目でこちらを見ているのがわかった。
僕たちは今、すごく目立っている。
「ルカ・ルミエール。ボクの代わりに戦士のダンテという男を探してほしいクマ」
今朝、朝食を摂る僕に、カシクマが言ったことだ。
エルドレインの復活に駆け付けなかった戦士のことが気になるという彼は、僕にダンテという男の捜索を依頼してきたのだ。
どうやらミカインの街に暮らしているという話らしく、どこにいるかわからないから探してくれ、とのことなんだけど……。
「あ! たい焼きが売ってますよ!」
「リーシャ、たい焼きとは何なの?」
「たい焼きって言うのはですね、たいの形をした食べ物のことですよ! 中にあんが入っているんです!」
「どうして中にあんを入れるという発想になったのかしら……? ぬいぐるみに綿を詰めるのと一緒……? 興味あるわ」
「いや普通に美味しいからじゃろ。アホか?」
うるさい。こいつらすごくうるさい。
よく考えたら、少し前まではリーシャだけだったのに、今の神器ーズは4人。おまけにメイカと僕も含めて6人だから、ちょっとした団体になってしまっている。
できれば神器ーズだけでも、1人か2人に人数を減らししてほしいんだけど……1人だけ選んでとか言ったら絶対騒ぐよね。
「ここは僕に任せてもらおうクマ」
その時、ストックバッグの中からカシクマの声が聞こえてきた!
「うわっ! なんでそんなところに!?」
昨日、お前のバッグの中に扉を入れておいたクマ。これでバッグの中と僕の家がつなげることができるクマよ!
「そうか、じゃあ神器ーズはこれから、カシクマの家で待機することができるんだ!」
カシクマのことをめんどくさいぬいぐるみだと思っていたけど、<ドア・トリップ>のような便利な能力もあるし、神器もくれたし、性格を除けばいい人なのでは。
「よし、神器ーズは、外に出ていいのは一人までにします! 外に出る一人は順番で!」
僕が宣言すると、神器ーズは一斉に顔を見合わせた。
「もちろん、最初に外に出るのはわらわじゃろ? 一番目立つからの」
「だから、目立つのが駄目って言ってるっスよ。ミリアは論外っス」
「ここは平等に、メンバー入りした順番でいいんじゃないですか?」
「リーシャ、それはあなたが言うと平等にならない気がするわ」
まあ、揉めるよね。
「わかった。じゃあリーシャの意見を採用して、メンバー入りした順番にするよ。今日一日はこの街にいる予定だから、全員に回ってくるよ」
「ちぇっ、しょうがないのじゃ。リーシャ、ちゃんとおみやげを用意しておくのじゃぞ!」
「私は本さえ読めればどっちでもいい」
「どうやら、あたしがこの街に旋風を吹かすのはもう少し後みたいっスねえ! 待ってるっスよミカイン!」
三人はそれぞれ捨て台詞を吐いてバッグの中に戻っていった。
三人がいなくなったことで、僕・メイカ・リーシャの三人にメンバーが減り、いっきに静かになる。
「……神器のみなさんがいなくなると、結構静かになるんですにゃね」
「そうだね。なんか久しぶりな気がするよ」
静かすぎて不気味なくらいだ。違和感のようなものを懐きつつも、僕たちは再び歩き始めた。
「で、ルカさん。今どこに向かってるんですかにゃ?」
「まさか一人一人聞くってわけじゃないですよね? 私、そんなの疲れちゃいますよ!」
「うん。やっぱり人が集まるところに情報は集まると思ってね……ほら、着いたよ」
周りの建物の中でもひときわ大きい建物。ここならたくさん人が集まっているから、情報も集めやすいだろう。今もがたいのいい男が中から一人出てくるのが見えた。
「冒険者ギルドですか! さすがルカさん、考えましたにゃ!」
戦士なんて言うくらいだから、冒険者の人が知ってるかもしれないと踏んだんだ。おそらく、ここで聞けば効率がいいだろう。
扉を開き、足を踏み入れる。
建物の中には、冒険者と思われる人々がぞろぞろと集まっていた。席に座って作戦会議をしたり、掲示板の前でクエストを吟味する姿は、クノッサスの街でもよく見る光景だ。
ただ、僕たちがいたクノッサスのギルドと圧倒的に違うのが、その規模だ。さすがは都市ということだけあって、人数が倍以上いる。すごい賑わいだ。
「よお、そこの兄ちゃん!」
ギルドの内装を見渡していると、僕のことを呼ぶ男の声がする。
声の方を見てみると、筋骨隆々な男がコーヒーを飲みながらニヤニヤと僕のことを見ていた。
「なんですか?」
「俺の名はライオス! この辺りじゃ有名な冒険者の戦士だ」
スキンヘッドで、体にタトゥーが入っている。なんだかよくわからないけど、僕のことを品定めするような目で見ている。
「はあ」
「お前さん、新入りだろ? 俺はこのギルドに来たやつと腕相撲をするのが好きなんだ。やってみないか?」
いるよなあこういう人。クノッサスにも腕相撲をしようと言ってくる男がいた。当然僕は負けて笑われたから、いい思い出はない。
めんどくさいし、スルーしようかな……。
「上等じゃないですかあ! ほらルカさん! キラっとやっちゃってください! 腕相撲の世界にミラクルはないということを知らしめてやるんです!」
しまった。リーシャがいるんだから、そういう展開になるに決まってるな。
「なんだ? あんちゃん、腕相撲強いのか?」
「ええそうですとも! ルカさんは無自覚なのにちょーつえーんですにゃ!」
メイカまで余計なことを……まったく。
仕方ない、この人に勝って情報を聞き出すとするか!
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