表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/13

#3 付き合いたいってこと...?

でも、今回は今までとは何か違う気がする。なんていうか、有季さんともっと一緒にいたいと思う。一緒にいて、たくさん話して、たくさん笑いたい。自分に完璧の仮面を張るんじゃなくて、ありのままを見せたい。


英語の授業が終わり、次の数学の授業が始まっても、悠也はずっとそんなことを考えていた。


それって、付き合いたいってことだよな...

付き合うには、もちろん告白しなきゃいけない。でも、まだ顔を合わすので精一杯だ。呼び出して、面と向かって自分の思いを伝えるなんて想像しただけでも無理だ。


何で中学生の頃にもっと女子と喋っておかなかったんだろう。今更だが、自分の恋愛経験のなさを恨む。女子と話すのがダサいだなんて、今からしたらばかげていた。内心で頭を抱えたのと同時に、


「じゃあ、悠也。ここの答えを教えてもらおうか」


先生の鋭い声が飛び込んできた。慌てて黒板に目を移し、先生の指差す先を見る。しかし、答えがわからない。というか問題の意味からわからない。

それもそのはず、授業なんて全く頭に入っていなかったのだから。


「悠也どうしたあ?」

「さっき言ってたばかりだろ」


周囲のクラスメイトが、これ見よがしにヤジを飛ばしてくる。

入学して1ヶ月で、完全にいじられキャラが定着してしまった。中学生までは、どちらかというと自分がツッコミだったのだが。まあ僕がいじられることを異常に嫌がったからだけど。


「悠也ぁ、カンでもいいから答えてみ」

クラスのリーダー格である高末陽太が、ニヤニヤしながら言う。


「えーと...7とか?」


途端に、教室がドッと沸く。


「おいおい、なんでこの文字式の答えが整数になるんだよ」

「ぎゃはは、やっぱおもしれぇー」


カンで答えろつったの誰だよと内心思う。僕ばっかり標的にするなよとも。特に、先ほど振ってきた陽太なんて、完全に悠也を狙い撃ちだ。真面目に間違えるところが面白いのだろうか。わからない。


はあっとため息をつくように首を傾けると、隣では有季さんがこっちを見て爆笑していた。笑いすぎて涙が出たのか、目元を曲げた人差し指で拭っている。


その曲げた人差し指越しに、目があった。すると、また笑い出す有季さん。そんなに面白かったか!?


だけど、その姿を見ていたら、怒りが収まってきた。しかも、なぜか嬉しさが湧き上がってきた。笑われて嬉しいのは初めてだ。


確かに、有季さんのこの姿がみれるなら間違えて良かったと思えなくもない。

悠也は、心の中で密かに陽太に感謝した。


____________

続く...



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ