ジャガ板
魔法についての記述をしました。
冒険活劇的な話では無いです。
より良い生活の為にを合言葉に!
この世界には魔法が日常生活に密着している。
例えば、料理をする時は火の魔法や畑へ水を撒くのは水の魔法と様々な所で利用されている。
魔法と言っても前世で思い描いていた様な攻撃魔法は無い。前世で言う所の科学とさほど変わらない。
正直、ガッカリしたのは内緒である。
中には規模が大きな魔法を使う者もいるが直接的な攻撃と言うより嫌がらせ程度でしかない。
この世界の魔法は原則は4属性である。
火・水・土・風
これは以上は無いと言われているが僕は前世の知識があるためこの4属性以外にも利用が可能だ。
どうやって作業の簡単なやり方を教えていけばいいやら。約束してしまったものの物の考え方が違うからな。
村の作業場にてケインを待っている間、考えていたが一向に思い浮かない。
「シン。早く秘密のやり方を教えろ」
はぁー憂鬱だ。ケインは顔に満面の笑みを浮かべながら声をかけてきた。
「わかったから落ちつけ。」
聞きたくてソワソワしているケインに言っても無駄かもしれないが。
「1回だけ教えるからそれで覚えてくれよ。」
「わかってる。早く教えてくれよ。」
僕達の仕事は村の農作物の管理などの子供ができる仕事だ。今日もジャガの収穫である。ジャガは土に埋まってるのてま掘り起こさないといけないが実がいっぱいついている為慎重に掘らないと傷が付いて売り物にならないからどうしても時間がかかってしまう。
更に硬い土の中なので子供の力だとどうしても時間がかかってしまう。
そして、村の子供たちの仕事は男と女で内容が違う。
成人までは村の農作物の管理や収穫がメインだ。
成人すると、鉱山や森の中での狩りをする。
「ケインまずは掘り起こしたい場所に水魔法で水をかける。ただし、土がビショビショになるまでだ。水やりとは違うからな。
次に土魔法で耕す時みたいに畝の下の方から土を持ち上げてくる。そうするとジャガが表面に出てきて拾いやすくなるだろ?それだけだ。」
「わかった。確かに拾いやすくなるな。」
「後は自分がやりやすい様にしたらいいと思う。」
「ありがとう。早く終わらせて修行に時間を取るんだ。」
「頑張ってね。」
これだけ教えれば大丈夫だろう。
後は自分の手で拾えばいいから今までよりは作業時間が短縮されるはずだ。
僕はここから風魔法を使って茎などを落として行くが風魔法での切り方の説明が難しいので省略した。
さてさて、僕も作業に行きますか。
「班長。今日の収穫分終了しました。上がっても良いですか?」
「シンか?いつも早いな。これならもう少し多目の量を頼んでも大丈夫そうだな」
班長は笑いながらジャガを確認している。
「良し。今日も綺麗にやってくれたな倉庫に運んだら帰って良いぞ。」
「わかりました。お疲れ様でした。」
さてと今日は何をしようかな。
暑い中ずっと畑にいるのはとても疲れるから早めに終わらせているが終わらせたとしてもやる事は無いんだよな。
ぼんやりとこの後の予定を考えていると倉庫に着いた。
「ケーラさん今日の分の収穫物を持ってきました。」
「シンかい。そこに置いておくれよ。シンのは仕分けが楽だからこっちとしても助かりさ。」
ジャガは大きさが異なる実をつけるから出荷する時は大きさを揃えて出荷するんだが大体根っこをくっつけて持ってくるから村の女衆達が大きさを一つ一つ実を取って仕分けしていく。
「シン」
大きな声で呼ばれた大抵倉庫で名前を呼ばれる時は良い事が無い。
「ケイトなにかな?」
「早く作業が終わったなら手伝ってよ」
今日は村の女衆の子供達も一緒の日か。
小さな村だから皆で力を合わせて作業するのが普通だが正直仕分けの作業はめんどくさい。
「僕はジャガ掘りで疲れてるから勘弁してくれないかな?」
「こんだけ早く持ってきたった事は疲れて無いでしょ?手伝いなさいよ。どうせこの後暇なんでしょ?」
流石、幼馴染だ。
小さな村だから皆に幼馴染だが僕と同い年はケインとケイトの2人。一緒に遊んだりしてるからすぐにバレる。なんとか脱出できないかと考えていたが。
「はいはいこっちに来る。」
逃げ場無いみたいだ。
1個ずつ確認しながら箱に詰めていくが時間がかかりすぎる。本当にめんどくさいぞこれは。
簡単に仕分けできるように考えながら作業しているが次々とジャガがやってくる。
終わりが見えない作業程きつい物はないな。
「ケーラさん、ここに大きな板はないですか?」
「あるけど何使うだいシン?」
「仕分けを簡単にする為です。」
「どういうことだい?」
ケーラさんは簡単になるんだったらと大きな板を持ってきてくれた。
まずは小さいジャガを取り出して何箇所も丸を作り穴を開ける。次は中位の大きさの穴を作る。
少し角度を付けて作業台の縁に置くと完成。
「ケーラさん。穴の下と板の最後に箱を置いて下さい。」
「それはわかったけど。どうするんだい?」
「ジャガを板の上で転がします。そうすると大きさにあった穴に落ちていくのである程度の仕分けは簡単になるはずです。」
本当に簡単な仕分けの仕方なので後で見直さないといけないかもしれないが今までよりはずっと楽になるはずだと思い、板の上を転がした。思った通りに穴に落ちていきある程度の大きさで纏める事ができた。
「これは簡単に仕分けできるね。」
「後は皆さんで良い感じにして下さい。僕は帰っても良いですか?」
「大丈夫だよ。ありがとうね手伝ってくれて。これならいつもより早く終われるよ。」
ケーラさんはおおらかに笑い思いっきり肩を叩いて作業台へ戻っていく。
「ケイト。これで僕はお役目が終わったみたいだから帰るよ。」
「シン ありがとう」
ケイトも飛び切りの笑顔を見せて作業台へ戻っていく。
はぁー疲れた。やっぱり前世は恵まれた環境だったんだとしみじみと思ってしまうが今はこの世界で生きてるし魔法も使えるようになったしこれはこれで良いかなって思う。さて、この後本当に何しようかな。
ジャガ板とのち呼ばれる共通規格の仕分け板はこの時から利用され始めた。
村への仕入れ商人がたまたま倉庫に商品を取りにきた時に使用しているのを見て「これは凄い。他の商売でも使えるぞ」と言い出して世界へ広がっていく。
仕分け場のケーラが「これはシンが作った物だからシンに聞きにいきな」と言ったそうだ。