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運命の出会い?①

お菓子の家を作って、疑問に思ったこと。

この18世紀、子どもだけで森に行かせる親がいるんだろうか。

「ねえ、アルちゃん。」

「アルちゃん言うなっつってんだろが。そのアホ毛引っこ抜くぞ小娘。」

 調子が良いようで何よりだ。私は負けんぞ。例え唯一のチャームポイントたる、この至高のカーブ(アホ毛)を失うことになろうとも!

私は!アルちゃん呼びを!止めない!!!


 それはさておき、「このご時世に、子どもだけ森に放り込まれるなんてあるかなあ?」

疑問を口にすると、使い魔は顔をしかめつつもちゃんと答えてくれた。

 こういう何だかんだ言って、ちゃあんと会話してくれるところは結構好きよ。アルちゃん。

 「最近、大規模な飢饉があったろ。それで口減らしのために子捨てをする親も結構いるぞ。」

「うわ何それ世知辛い。人間ってそんなに薄情なの。」

 信じられない。子どもを捨てちゃうなんて。

魔女なら絶対そんなことしないのに...。

 「そりゃ、魔女は人間食ってるから飢饉はねえし、人間が獲れなくても魔法でどうにでもできるからな。

子捨ては滅多にしなかろうよ。それに、お前にとっちゃあ人間狩りのチャンスだろ。」

 「そうだけどお。」

なんか、捨てられるなんてやっぱり可哀想だ。

 

 「だから人間を食べるの、嫌なんだよなあ。かわいそ。」

なんだか、しんみり。

「お前のはただの偏食だろうが。ふええ、兎さん可哀想だから食べちゃ駄目ぇとか言ってる人間かお前は。」

 この使い魔はすぐこれだよ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 昼でもだいぶ暗い森の中、両親に連れられて二人の子どもが歩いていく。

 「ねえ、お父さん。暗いよ?どこに行くの?」

二人の子どものうち、男の子の方が問いかける。

 父は悲しそうに笑って、言った。「おいしいごちそうが、お腹いっぱい食べられるところだよ。」と。

 女の子の方はむっとして、同じく怒った顔の母に手を引かれている。

 「そっか、楽しみ。ぼくはお菓子が食べたいな。」

そういって、少年は誰にも見られないように、ひっそりとパンくずを撒いていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「じゃあ、ちょっと出かけてくるね。留守番よろしく。」

「おう。」

 

 マルグレーテはまだ知らない。この後見つける人間の兄妹。彼らによって寝床を奪われることを。

そしてそれが、自身の災難の序章でしかないことを。

 


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