使い魔と私
まだヘンゼルとグレーテル出てきません。
人間を捕まえて食べるにあたって、気をつけるべきことは何か。
まず、大人よりも子どもが良いだろう。子どものほうが肉もやわらかく、新鮮で脂も少ないため味が良い。
私が小さい頃にお父さんが人間の子どもの尻肉でシチューを作ってくれたが、あれはまだ食べられる味をしていた。
うん、たぶんいける。人間を食べるのは子どもの頃以来だし、捕まえるのは初めてだけど。
さて、子どもを捕まえて食べる。
となると、どうやって捕まえようか?
「さらってくるにしても、労力がかかるしな~。」あと、運動嫌いだからあんまり動きたくないし。
うーん、どうしようか。うーん。
「さっきから一人でブツブツ何言ってんだ気色悪いな。」
真っ黒い闇色のフサフサした毛並み、らんらんと輝く金目銀目のオッドアイ、愛くるしい声、見た目だけなら完璧な美猫である。だがしかし、この使い魔私に対して辛辣すぎやしないか。主人に向かって気色悪いって。
「なによ、もう。人間を捕食しなきゃなんなくなって、心を痛めているご主人様を思いやろうって気持ちはないの?この猫でなし!」
「阿呆。どっからどう見ても立派な美猫だろう。」
うわ、この猫自分で美猫って言ったよ。まあ、悔しいことに神が生み出した芸術品って見た目だけど。私魔女だから神様関係ないけど!
「うう、姉ちゃんばかりか使い魔まで私をいじめる。」
ふーんだ。いいもんね。
お前のマタタビ後で全部捨ててやる。報復が怖いけど、私だってやるときゃやるんだ。
「そもそも、お前人間食べられるのか?未だに親父に好き嫌いするなって言われてるのに。」
「食べたくないよ。でも、食べなきゃ私の舌がシチューに....。あの女本当にやる。やだこわい。」
情けない主人の姿を見て、やれやれと首を振っている。
そんな使い魔、アルファードに人間の子どもの捕まえ方を聞くことにする。
なんだかとっても嫌だけど、絶対私よりやり方知ってるだろ。
何度かお父さんに付き合って人間狩りに行ってるもんね。
「アルちゃーん。」
「そのマヌケな呼び方を今すぐ止めろ。名誉毀損で訴えるぞ。」
やっぱりこの使い魔酷くないか?我、主人ぞ?
「あのさー。人間の子どもを捕まえようと思うんだけど、どうしたらいいと思う?」
「それくらい自分で考えられんのかたわけ。」
この使い魔、私がどんだけ知能指数が低いか忘れたのか?
なんなら目の前でビールの泡で遊んでやろうか。
ひげー!でも虫のたまごー!でもなんでもできるぞ。私にプライドなんぞない。
「やめろ、みっともない。」
目の前のお猫様は、「俺が悪かった。お前に普通の知能を持った、それも人間の子どもの心を解すなんて高度なまねが出来るわけがなかった。」
と言って人間の子どもを捕まえる方法を教えてくれた。
私のないはずのプライドが傷ついたっぽいけど、きっと気のせい!終わり良ければ全て良し!
さあ、お菓子の家を作りましょうか!
次回、やっとお菓子の家が建ちます。