第一話『早起きは身を助ける?』
「きっと、自分は幸せなんだって、心から言えるやつが一番幸せなんだ」
とある町のとある家のいつもの朝、惰眠をむさぼる少年が一人、彼の名は【轟 昇】(とどろきしょう)この物語の主人公である。暖かな春の日差しを受け、昔の人もいったごとく朝日も気にかけずベッドの中で幸せそうにしている。カーテンの隙間から差し込む朝日の日差しが眩しいのか、時々うなっては寝返りをうっている。だが、ただそれだけであって完全に目覚めているわけではないようだ。しかしその幸せは、彼の部屋に迫り来る襲撃者によってもろくも崩れることになる。それは、惰眠をむさぼる昇にはまさに予測のつかないことだった。その襲撃者は音もなく扉を開け彼の部屋にはいると、未だ気付かぬ昇に近づくと、薄ら笑いを浮かべそっと彼の耳元に唇を近づけてゆきそして・・・
「昇!起っきろー♪朝だぞ〜!!飯作れ〜!!早く起きないとそのまま簀巻きにして、外にほっぽり出すぞ!!」
と、大声で叫んだ。
さて、いきなりだがここで時間を少し止めよう、この突然の襲撃者名を【轟 舞】(とどろき まい)という。何を隠そう昇の姉である。姉と言いつつもこの二人、年は同じである。しかも二人とも『轟』の性を名のってはいるが双子ではない。ここらでなぜ?と思うかもしれないが、追々わかってくることなのでまぁ後ほど。では時間を進めようか、おっと自分は、名も無き、意味も無き、この物語の語り手、ただそれだけの存在である。決して作者の意志とかそんなんじゃないから、そこのとこよろしく。さて話がずれまくったね、気を取り直して、舞が昇を起にかかったところから始めようか。
びくっっっっ昇の体がけいれんしたように跳ねる。まぁ、耳元で怒鳴られれば誰だってそうなるだろう。だが昇はそれでも寝息を立て始めた、大いびきをかいてのおまけ付きだが。先ほどの安らかな寝息とは違い明らかに狸寝入りのそれであった。いや、狸の方が数段巧いやもしれない。なんせ、さっきまでいびき一つ書いていなかった人間が大いびきをかき出すのだから、誰だってわかるだろう。まぁ、そんなバレバレの嘘が通じるわけもなく、一見いや一聴にして舞にばれたのである。
「起きてんのは解ってんだから神妙にさっさと飯作れー!!め〜し〜つ〜く〜れ〜!!はらへった〜!!は〜や〜く〜!!」
耳元でこんなことを叫ばれたら、五月蝿いしこれ以上騒がれたら近所にも悪影響をおよぼしかねい。さすがの昇も狸寝入りを止め今度はわずかな睡眠時間を稼ぐため無駄だとしりながらも舌戦を試みたのだが、まぁそれも幼稚な物なのだった。
「舞、うるさいぞ!飯なら自分で自分の分作って食ってろよ、作れるだろ」
舞もご飯を作れるには作れるのは本当だ、だから問題はないかといえば、そこには問題が昔話に出てくる丼飯のごとくてんこ盛りなのだ。何が問題かといえば舞は超絶的に料理下手なのである。例えば、米を洗剤で洗う、レトルト食品を皿に空けず電子レンジに入れる、塩と重曹とを間違える・・ここいらはドジの域であるが、紫に変色したカレーを作る、お菓子を作ればすべて炭化、それを食べた人が気絶した、食べたら舌が痺れるスープを作った等々。さらにひどいことに、当人に自覚があるのだが、その上で『今日は大丈夫』と作った物を他人に食べさせるのだからなおたちが悪い。いつもなら、昇は止める立場なのだが今日は眠気の方が勝ったらしい、恐るべし春の陽気。もしこれが普通の日だったなら舞は喜び勇んで自分の分ならずありがたくも家族全員の分を鼻歌混じりで作るのだが、今日は舞の方も勝手が違った。
「いやだ、今日はせっかくの入学式だぜ朝は旨いもの食って景気よく行きたいじゃんか」
朝旨い物を食うと景気がよくなるのか?だったら日本人は朝からうまい物を食うべきであろう。まぁその真偽はともかく、朝から阿鼻叫喚な料理を目にするより、すごく清々しいと思う。いや、絶対そうに違いない。最初に言い忘れたがこの日は高校の入学式であり昇は新一年として入学する新入生である。もっとも昇の頭の中は未だに春の日溜まりの中、草原にチョウが舞ってるらしいが・・・
「そうか今日は入学式だったか、すっかり忘れてたぜ」
まさに今気がついたと言わんばかりにつぶやく昇に舞は半ばあきれ顔だった。なぜなら一般の人からすれば入学式など忘れたくとも忘れられない日であろう。それを忘れるというのだから舞には自分の弟ながら信じられず惚けてしまうのはしかたがないことなのだろう。まぁ、何というかこれが轟昇という人間を語る上で欠かすことのできない一面である。忘れっぽいというか何というか少し天然さんなのである。だがそんな昇でも入学式早々から遅刻する気はさらさら無いらしく眠そうに目をこすりながらベットから這い出してきた。そしておもむろに時計を確認したところで昇の動きが止まった、そしてさっきまでの緩慢さが嘘のようにあわただしく動き出した。そのときベットの上の時計は七時半を示していた。もう一度確認する、昇は忘れっぽく天然である。だが、いくら昇でも学校の始業時間までは忘れてはいない。しかし今日は入学式である。入学式が始まるのは九時半からであり新入生はそれまでに割り振られたクラスへ行けばよいのだが、くどいようだがもう一度だけいう昇は忘れっぽく天然である。ちなみに始業時間は八時半である、これを過ぎれば遅刻となる。もうお解りだろうか、昇は遅刻しないように、あわただしく動き始めたのだ、入学式が九時半からと言うのを忘れて。余談だが昇の家から学校まで、自転車で二十分ほどかかる。さて話を昇の部屋に戻そう、昇は、学校に行くために準備をしているそしてもちろんそこには真新しい制服への着替えも含まれているのだが、着替えるには服を脱がなければならない、ちなみに昇は寝起きであり、部屋には舞がいる。さて健全なお兄さん方には理解できただろう、どのような結論に至るかを・・・・
「昇成長したな姉としてうれしく思うぞ///////じゅるり」
「うわああああああああああああああぁ」
現状を説明しよう、昇は今上半身裸(Yシャツは羽織っている)下半身はトランクス一枚。舞は、鼻血+ガン見。舞の指がそれぞれが意志を持つようにうごめく。そして昇に向かいゆっくりゆっくりと進んで行く。そしてそのまま昇のYシャツに手をかけて・・・
「これは誘ってるんだよな、私は弟でもかまわず食べるんだが、むしろ大好物です。」
「止めろこの変態が!!」
昇も必死に抵抗するが、舞の手はそんな抵抗もないかのように昇の体を優しく下へなぞり始めた。その手はなめらかに、そして舐めるように進んでゆき最後にはトランクスに手をかけてしまった。さて、ここであえていわせてもらおう、これなんてエロゲ。程なくして昇の部屋からは男の悲鳴と、それはそれは楽しそうな少女の笑い声が聞こえたそうな。自分はもう知りません、というより描写すると15禁ぐらいにはひっかかることが巻き起こっています。自重って大切ですよね。さてここで一旦終わりますが、次でほんとに昇は入学式間に合うのか・・・
次回に続く。
次回予告
昇です、姉に襲われた・・・。だが無事に撃退できたぞ、期待すんなよ。これは全年齢対象のほのぼの小説だ、ちょっと書いてるやつが年食ってるもんだから、古い表現やちょっと時代とずれてるかもしれんが、気にしないでやってくれ。まぁ、第一回と言うことだから俺が次回の予告をするぜ。
朝食を食べながらの朝の一ページ、俺の憩いの時間。そのさなか昇にまたしても舞の魔の手がそして妹までも・・・・「お兄ちゃんわ私の物です」次回、『朝御飯とエプロンとわ・た・し』って違うだろ。読み手台本が違うぞちゃんとしたのわたせ。
読「悪い悪い別のやつ渡してしまったか、こっちが本物だ」
全く悪ふざけも対外にしろ。
気を取り直して、次回は
”桜に惑わされ入ったのは知らない道だった”次回『桜に迷う春の道かな』
期待しないで待ってろよな。
まず読んでいただき後書きにまできてもらいありがとうございます。さて、初投稿と相成りました、自分狂言廻しと言います。ここをみてるということはこんな駄文を読んでくださったと言うこと。至極恐悦。ストックもなく見切り発車であるが故、不手際が多くなるとは思いますがご容赦を。よければ次回も読んでくださればうれしいです。