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河童与之助 7

 この時は青山も相馬そうまも、銀丸しろがねまるの推理、ではなく宮の筋書きに重きを置いていた訳ではない。


 幼児期の虐待だの精神的外傷だの、マスコミがよく書き立て精神科医などが騒ぎ立て、罪を軽くする為の方便だと、実際の現場に立っている青山と相馬は思っている部分があったのだ。



「もし人物像が当たっていても、これは警察への協力ではなく、ただの雑談ですから。刑事さん達の、お心にだけ止めておいて戴きたいのです」


 宮は、他言は無用と言っているのである。

 

 それを青山も相馬も、大げさなと思っていた。

 

 ただし、宮が軽い暗示にかけた為に、事件が見事解決された時も、警察発表でこの奇特な協力者の名前が出たり、感謝状を贈られたり、私立探偵に転向しないかという話が出たり、はしなかったのである。



 相馬はまだ独身で、青山は結婚していたが、二人いる子供は高校生と中学生で、子供達が小さかった頃も、仕事が忙しいのにかまけて育児に携わっていないので、宮の年頃の子供のことがよく理解できないらしかった。


 その所為で宮が、どう考えてもその年頃の子供とは違う事実にも、気付かなかったと言える。


 こんなものなのだろうと、思ってしまったようだ。



 それでも相馬は不思議そうに、

「学校かテレビか何かで、そういう話し方が流行っているのかい?」

 と、宮に聞いてきた。

 

 宮は、危ない危ないと思いながら、

「ああ、いえ。父の影響です。父が、時代劇が好きなものですから」

 と、言って、お茶を濁した。

 

 青山も相馬も、それで一応は納得する。

 

 宮は当然分別があるので、間違っても普段のように、其の方らなどという言葉は使わなかったが、どうやっても子供の言葉使いにはならないのだ。

 

 

 青山は、一応連絡先を教えて欲しいと、ペンと手帳を銀丸に渡した。

 銀丸がマゴマゴしていると、宮がうまく街灯の下まで銀丸を誘導して、壁に手帳を押しつけて、下敷き代わりにすることを教えたのだった。

 

 青山と相馬はそう思ったが、事実は少しばかり違う。

 

 銀丸はまだ、縁起堂の住所一つ覚えていなかったのだ。

 宮が、それを悟らぬ筈がない。

 

 青山と相馬から距離をとって、銀丸が書くのに合わせて、宮が縁起堂の住所と電話番号を囁いてやったのだ。

 

 いくら何でも、自分の家の住所まで分からぬでは、示しがつかぬと宮も思ったのだろう。


 青山は、銀丸から返された手帳の文字を見て驚いた。

「えらく達筆ですな」

 銀丸の母親は、宮の言う通り、正しい目を持っていたと言える。

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