表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/312

河童与之助 6

「俺と同じ年?」と、相馬そうまは驚いて呟いた。

 相馬は、老け顔らしい。

 

 三十代前半に見えるなどと言っては、失礼だったろう。

 

 ただし、ここで使った二十八という年齢は、縁起堂の本当の息子の年である。

 

 狐は一年で十才になり、二年で二十歳ぐらいの外見にまで成長する。

 中には、外見の成長が少し遅れる者もいるが、銀丸しろがねまるは平均的な見た目をしている。


 二十歳ほどになれば、その後は十年で二、三才ずつしか年をとらなくなる。

 見た目ではなく、実際年齢が三十になって初めて、両宮で行われる登用試験を受ける資格が得られるのだ。

 

 二年で狐としては成人しても、妖かしとしては未熟だからだ。

 

 この銀丸は、実際には三十五年ほど生きていることになる。

 登用を受けて、まだ数ケ月しか過ぎないのは、試験に合格するまでに数年かかってしまったからだ。

 

 狐は、見た目で言えば八十近くまで生きる。

 つまり、実際には百五十年以上は生きる計算になるのだった。



「それでも、十九才の時に生まれたお子さんですか?」

 青山が、街灯に照らされた、繁華街で遊んでいそうなごく普通の若者を、上から下までジロジロと眺めた。

 実際は二十八才としても、こんな大きな(言葉の綾である念の為)子供がいるようには到底見えない。


 銀丸は単純、ではなく素直に、

「家を勝手に飛び出したあと、早くに結婚したものの失敗して、親に泣きついているような在り様で、まことにお恥ずかしい限りです」

 と、言って、頼りなくペコリと頭を下げたのだった。

 

 青山も相馬も、銀丸を悪い人間ではないらしいと思ったようだ。


「でも、お父さんの立てた推理、今まで外れたことがないんです。もしこのまま事件が続いて、しかも目撃証言などがなく、行き詰まるとすれば、さっき言ったことを念頭に、そんな人物像に該当する人間がいないか、探してみて下さい」


 宮は、暗示を滲ませつつ、二人の刑事に伝えるべきことを伝えていく。


「お父さんとしても、犯人像を絞り込めていて、それなのになかなか犯人が見つからず、随分あとになって犯人像通りの人間が捕まることに、やきもきしているところがありますから。息子の僕からも、刑事さんにお願いしたいんです」


 宮は、縋るように二人の刑事を見上げた。


 小さい子供から、無条件の信頼を受けて、何も感じない人間も珍しい。

 相馬の方が手帳を出すと、何でしたかねと銀丸に、宮のさっきの言葉を尋ねた。

 

 一度には、一つも覚えられなかったようだ。

 

 とは言え、銀丸だって自分の考えたことではないので、覚えている訳もない。

 しかも人間を前にして、緊張しきっている。

 


 幼児期の虐待と宮に言われて「ああそうそう、虐待ね」と、相馬は気乗りしないながらも、項目を作っていったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ