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河童与之介 2

 もう一人は、やけに細長い男だった。

 男は肩だけがいかつく、そのため肩が服を着ているように見えた。

 こちらは、三十代の前半とおぼしい。

 ヒゲの剃り跡も青々とした、精力的な顔付きをしている。

 

 彼等は、会社帰りで一杯きこし召したサラリーマンの二人連れではない。

 足どりに乱れはなかった。

 

 それもその筈、彼等は捜査一課の刑事で、仕事の真っ最中だったのだ。

 彼等は、四十前の方が青山みつる、三十代前半に見える相棒が、相馬そうま和茂かずしげと言った。

 

 二人は一時間前に起きた事件で、聞き込み調査を終えて、これから署の方に戻ろうとしているところだ。

 一時間ほど前、この先の路上で、八才の男の子が両目を刳られて、溺死しているのが発見された。

 

 発見された時には、死後二十分と経っていなかった。

 その日の夕方にも、両目を刳られて六才の男の子が溺死するという事件があった。

 

 全く同じ手口だ。

 

 そちらの方は、死後三時間近くも発見が遅れている。

 たまたま人通りのない路地だった為だ。

 

 しかし二つの事件には、はっきりと関連性が認められる。


 十才前の男の子であること、両目が刳られていること、そして水溜りにつっ伏すように倒れていたこと。

 

 男の子は両方、水をたっぷり飲んでいた。

 

 溺死だ。

 

 そして、まるで水の中に沈められたかのように、全身ずぶ濡れ、または濡れたのが乾ききっていなかった。

 

 水溜りは浅く、到底全身ズブ濡れになって溺死するとは考えられない。

 

 水溜りを作った雨は、昼前にはやんでいる。

 別の場所から運んだらしい様子もない。

 全く目撃者はいない。

 不審人物の目撃情報すら寄せられていない。

 

 そもそも、被害者同士は面識がない。

 小学校も違う。

 被害者の家族にも、接点らしきものは見つからない。

 

 警察も、無差別異常殺人で、解決に時間がかかるのではと、焦りを隠せなかった。

 

 二つの事件は、短時間の間に起こっているのだ。


 青山と相馬の刑事の二人は、もう一度、事件現場を見てから帰るつもりでいた。

 

 くだんの水溜りは殆ど乾いて、直径十センチほどの濡れた跡を残すのみとなっている。

 街灯の明かりの外に、水溜りの名残はあった。

 

 青山と相馬の目には、一人の男の子が、明かりの届くギリギリの所で、水溜りを覗き込むようにしているのが見えた。

 はなはだ非科学的ではあるが二人は、その男の子を一瞬、幽霊かと思ってしまった。

 

 暫く前にその年頃の男の子が殺され、遺体のあった場所なのだ。

 

 その男の子の方が、被害にあった子供よりは小柄である。

 その、Tシャツと半ズボンにリュックを背負った男の子は、青山と相馬に気付くと、軽く黙礼を送ってきた。

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