表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/312

縁起堂 24

 人間は、水飲み場で狩りをすることを覚えた肉食獣である。


 と言っても、それが水生動物であれば水場こそ狩り場で、そのことは他の獣達も承知の上であった。

 水生動物は、水場以外で襲ってくることはまずない。


 生き物が、本来与えられた己の領分を越えれば、自然の節理が狂う。


 そして、最後には己自身が滅ぶのだ。



「無知ゆえというのも、確かにある。しかし人間というのは、もし自分達より力の劣る者の住む世界があれば、侵略してものにしてしまうものなのだ。それは、侵略と呼ばずに、教化などと言って言葉を繕っているがな」


 語る宮の顔は、物憂げだ。

 

「人の為を旗印にしてはいても、決してそこに住む者達の為にはなっていないのだ。人間は、そこに住む者達を利用しようとしているだけに過ぎない。そして、自分達がそうだから、ある意味人間に勝る部分のある妖かしである我等も、人間と同じことをやって当然だと思っているのだ」

 

 自分達がそうだから、相手もそうだと思っている。

 自分達のように、襲いかかってくると。

 

 それが人間なのだ。

 

 宮は、拭き終わった茶碗を、てきぱきと食器棚に片付け始めていた。

 相変わらず銀丸は、ボーッと突っ立っているだけである。


「そんな考え方が、あるのですか?」

 銀丸は、茫然として言った。


 銀丸の素直さを、宮は好ましく感じる。

「妖かしには、理解どころか、思いつきもしない理論だがな。これこそ人間が、が強くなり過ぎた証明となろう」

 そう言いながら宮は「見つかったらしいな」と独り言ちて、衛士次官えじのすけを呼んだ。

 

 宮は、口は銀丸に、手は片付け物に、頭は考え事に、目は冥府と人界の光景にと、一夭ひとりで何夭分もの働きをしている。

 

 シャボン玉に映っていた、人界での動きに何らかの動きがあったようだ。

 

 十個のシャボン玉は、互いにくっつき合って、大きな一つの玉になった。

 そこに、少し驚いているらしい衛士次官の顔が映っている。

 宮へ報告をと思った途端、呼び出されたことで、宮が動きを見張っていたことが分かったことだろう。

 

 衛士次官は、それを不愉快に思うことなく、宮の目が行き届いていることに感謝したようだ。


「同じ五番目の区域で、二人目の犠牲者がありました。宮様のお言葉に従って、張っていた甲斐がありました。人界の捕り方役の者達より先に、見つけることができました。見つかるのが早かった為に、残留妖気を追うことができております。まだこの区域から出ていない筈なので、水界を閉じて、包囲網を作る第一段階と致します」


 宮は、それでいいと頷くと、新たに指示を出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ