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縁起堂 3

 それまで穴抜けの先は、一位の中国に次ぎ、二位はバリではなく日本であったのだ。

 それが、温暖多湿の日本より高温多湿(雨季)のバリの方が、妖かし達には好まれているのである。


 魅力的な気候をさしひいてあまりあるほど、日本は新たに住み着こうとする妖かし達に、住みにくい悪所となっていた。



 だが奈良や京都といった土地は、古くから妖かし達に好まれている土地である。

 狭いが、それさえ我慢すれば今であっても、妖かし達に故郷に帰ってきたような気分を感じさせる場所であった。


 実際に住んでいた者は、奈良や京都に残る史跡や遺物に懐かしさを感じる。

 事実、奈良や京都に住んでいなくとも、それは同じだ。

 

 現実に住んでいた場所は、もうあまりにも変わってしまっているからだった。

 

 古い史跡のある場所には、特殊な磁場となっている。

 妖かしと人間が共存し、妖かしを受け入れていた古代の人々の思いと、大らかであった時代の名残が残されているのだ。

 それが妖かし達に、懐かしさを感じさせる要因となっていると言えた。

 

 

 古くは、出雲に出張所があった。

 いまは地名も変わっているが、昔からの名残で出張所は残っている。

 ただし現在では、ほとんど機能していない。

 

 古い日本の姿を知る長命または、不死の妖かしには、日本の変貌に目を見張るばかりで、言うべき言葉も見つからないほどだ。

 宮は、胸を痛めているぐらいである。

 されども、どうにもできるものではない。

 

 今更、日本に住み着いた妖かし達全てに、冥府への帰属を命じる訳にもいかない。

 そんなことをすれば、それこそ冥府の混乱に繋がる。

 

 人界の影響を受けた妖かしは、冥府の者達に影響を及ぼすであろう。

 まさに、人界での作法を身につけた妖かし達が、冥府に良くも悪くも影響を与えているのだ。

 

 大抵は、害のない影響ばかりである。

 妖かしと人間が共存していた時代に持ち込まれたものなので、宮もそれほど問題視していないのだ。


 けれど、現代人達の影響を受けた干渉を嫌い、関わり合いを好まぬ妖かし達が、冥府に入ってくればどうなるか?

 それが冥府の者達にまで伝染すれば、冥府もまた日本と同じ姿になるかもしれない。

 

 水と火の宮は、人界でのことだと、決して軽く考えていない。

 人界の話が出て問題にされるのは、日本の先行きであった。

 妖かしと人間が互いに互いを潰し合い、泥沼となっているのをどうするかが、遠くない未来、必要となってくる。

 

 中には、妖かしも人間も関わりなく始末をし、日本を人界での妖かしの基点にしようという、危険な意見も出ているのである。

 これ以上潰し合いが進めば、宮達も決断をしなければならなくなる。

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