表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/312

死神佐平 14

 死神という己自身に追われるように、男は自らの力を使っていたのだ。


 男にあったのは、怒りだった。

 悲しみだった。

 持って行き場のないたぎりだった。


 それが人界に来て、薄れてしまった訳ではない。

 ただ、自分の中にあった気持ちに気付いてしまっただけだった。


 男はただ、人と一緒にいたかったのだ。

 死神だと怖がられたくなかったのだ。

 

 他者ヒトの来ないいおりで、永遠に一夭ひとりぼっちでいたくなかったのだ。

 それが分かったからと言って、何になるのか男には分からない。

 



 男は死臭の中で浅い眠りに溺れ、夢を見てはその度に目を覚ました。

 

 夕方になり暗くなると、男は起きて活動を始める。

 シャワーを浴びヒゲを当たり、まだ袖を通していない服を身につけ、身支度を終えると財布とカギだけ持ってアパートを出る。


 別に何もすることはないが、その日は遅くまで開いているジーンズショップで、自分の身体にあった服を買った。

 服を買うと金が乏しくなったが、男は気にしていなかった。

 

 食事をする必要も、本来は男は何も必要としない。

 ただ店があるから、買える金があったから、それで買っただけのことだ。


 その後は、ただ街をウロつくだけだった。


 無意味だ。

 何の意味もない。


 しかし男は、ただ路地を徘徊するのをやめなかった。

 まるでそうすることで、男が求める答えが見つかるとでも言うように。


 二日目も何もないまま朝が来て、男はねぐらと決めたアパートに戻って眠った。

 


 クローゼットの中の死体は、腐敗が進み、腐敗臭をさせ始めていた。



 やはり男はクローゼットにもたれて、浅い夢ばかり見る眠りを貪った。

 

 男の一日は、夜になると出掛けて、昼に戻って眠るというものだった。



 男が人界に来て、三日目のことだ。


 人界に来て初めて男が、永久凶悪犯罪者に相応しいことをしたのは。


 男は、もう何もかも考えるのが面倒臭くなった。


 夜でも繁華街は、人が絶えることを知らない。

 若い男女が、多く目に付いた。

 彼等もまた闇を好むのだろうと、夜遅くまで出歩いていることを、咎めるような気質は男にはない。


 ただ、知るべきだとは思う。

 自分達が、いつでも危険に身を晒していることを。

 それを、男は教えてやっただけだ。


 その場に十人ぐらいいただろうか。

 バイクを止めてたむろしていた少年少女達。


 男の方から声を掛けた。


 いい気分になりたくないかと持ちかけると、彼等は男を薬の売人だと思ったようだ。

 大麻か覚醒剤かと聞くので、ポイズン(毒)だと答えた。


 男は、その場にいた者達の生気を指に絡めて、強く引き抜いてやったのだ。

 引き抜いたあと路上に捨てて、男は死体をその場に残して歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ