夢見る世界
思いつきで始めたので、最後までいけるかどうかな感じですが、最後まで見てくれると嬉しいです。
後、思いつきなのでもし、かさなっててもあまり気にしないでください。
午前十時半、二時間目の数学も半分が終わり、少し飽きた俺は左の窓から、他のクラスの体育を見ている。
再び、教師が話し始めたので、黒板に意識を戻す。こうして、起きて居る間だけでもノートを移さなければならない。
俺は、写し漏らした板書の量を思い出して、ため息をつきながら、意味のわからない文字の羅列をひたすら写していく。
書いているページは、赤や青の水玉模様が入った紙である。場所によっては、ペンが引っかかり、何かと思えば赤い穴が小さく空いている。
それでも気にせず写していると、急に視界が真っ黒になった。
辺りは、すぐに明るくなるが、景色は変わった。まず俺は、振り上げられた瞬間だった。
振り上げている主の正面には、人の体を持った三メートルほどもある牛がこちらを見ている。
「フィアル、あれっていわゆる。ミノタぁぁぁ‼︎」
そして、そいつに向かって斬りつけられる。足の先ないし、今は剣先が柔らかい何かに包まれその中を進んで行く。
そこを抜けてみると、何かドロドロとした物が、身体の表面を流れるていく。
「そ、ミノタウロス。」
「マジで、気持ちわり。」
「ゴメン、今は我慢して。」
同時に、身体の中心辺りにガツンという衝撃が襲いかかる。
「痛って〜。」
「剣の癖に何言ってるの。なら、早く終わらせるよ。そのための魔剣なんだから。」
「分かったよ。まずは、背骨を切って奴を真っ二つにするか。」ミノタウロスの次の攻撃の痛みに耐えながら言う。
「それで、死んでくれればいいけど。」
「いいから、なるべく水平に頼む。」
「分かった。」そう言って、フィアルは次の攻撃を繰り出そうと腕を振り上げたミノタウロスに向かって走り出した。
そのまま、がら空きの胴に剣を水平に入れる。
再び柔らかく、生暖かい感触が、身体を包む。そしてガツンと何か硬い物に当たったがそれすらも通り抜け、ミノタウロスの背中から、俺の身体が抜けだす。
何が起こったか、理解していないミノタウロスは、フィアルを追いかけようと、身体を少し回したが、そこでバランスを崩し倒れた。
そこには、動かない下半身となおも戦おうとする、ミノタウロスの上半身がある。
「止め差す?」
「ほっといても死ぬだろ。それより、本当に気持ちわりいな。」
「いい加減血に慣れなさいよ。あなた、魔剣でしょ。」
「嫌なものは嫌ななんだよ。なんなら、お前も全身に血でも浴びでみろよ。」そんなことを言ってる内に、まとわりつく血は、消えていった。
「そうねぇ、ならあと一月以内にあなたの気持ちもわかるかしら。」そう言って、フィアルは遠くに見える。巨大建造物の方を見る。
そこには、日本の古墳、その中でも方墳と呼ばれる物に似ている。ただし、規模は桁違いでここから見えているのは、それがただ、ただ巨大だからである。
「この道の先にあるカジという街から三日後に魔王討伐軍が出るらしくて、これからそこに参加しに行く事にしたの。」
「ついにあそこに乗り込むのか。」
この夢の世界に呼び込まれる用になって二年、ようやくこの世界に来る目的を倒しにかかれる。その戦いが終われば、もうこの世界に来る理由は無くなる。
「なぁフィアル、魔王を倒したら俺はもうこの世界に来なくても良いんだよな。
今までなんだかんだで楽しかったよ。ありがとうな今まで。」
「何を言ってるの?多分、まだ別の世界に魔王はいるし、まだまだ続くわよ。」
「は?」
「第一、私も元々この世界の人間じゃ無いし。」
「ちなみに、この世界で何個目?」
「四個目かしら。一つに付き一年ぐらいだから、結構長いわね。」
フィアルは、少し驚いた風に言う。
「四年って、お前いくつだよ。」フィアルはどう見ても俺と同じくらいだ。
つまり、十三ぐらい、日本なら中学生になるかならないかという歳から一人で戦って来た事になる。
「お前の親もよく許したな。」
「あー、その頃にはもう、二人共いなかったから。」髪を後ろで止める赤い紐を結び直しながら言った。
「悪いな、嫌なこと思い出したか。」
「大丈夫だよ。もう昔の話だしから。最近は、思い出す事もほとんど無いし。」そう言って、手に持った俺に話しかける。
「さてと、じゃあ先を急ぎますか。今日中に次の次の町まで行かなきゃ行けないし。魔王に近づくにつれて、魔物も増えて来たから。」
「本当にな…」これが、俺の悩みの一つ。敵が増えれば戦う回数も増える。それは、つまりあの嫌な感覚を味わう回数が増える事を意味する。
「勘弁してくれよ。」
「我慢さなさいよ、あなたは剣なんだから。」そう言いながら、フィアルは歩き出す。
「いや、だから前から言ってるだろ。元の世界では、俺は普通の人間なの。
肉を切るときの身体を伝う感触なんて、最悪なんだからな。」
「だから、なるべく早く終わる様にしてるじゃない。」
「半分以上は、俺の功績だけどな。」一回一回相手を切る感覚を想像するのは、かなり疲れる。
「でも私があなたを振らなきゃ、あなたも意味ないんだからね。」
いつもの会話だが、俺がこの旅が嫌にならないのは、こんな会話が楽しいからだ。
だから今日も続けていくそう思った。
「それにしても、あなたを使う様になって一年が経つのね。」
「どうしたんだよ、お前らしくない。」
「もう直ぐこの世界も最後だからかしら、なんとなくよ。」フィアルには珍しく、しんみりとした口調。
「でも、あの時洞窟であなたを拾った時の事は、今でも覚えてるわ。」
「俺も覚えるよ。突然無理やり呼び出されて、振り回されるし、周りは明らかに敵だらけだし、おまけに血で視界は真っ赤になるしで最悪だったよ。」
今でも、あの時の事は覚えている。
あの日も、受けていたのは数学だった。板書をしているその時に、何の前触れも無く視界が途切れた後、次に見えた景色は逆さまだった。
この日、フィアルは何となく入った洞窟の奥でこの剣の柄を見つけたらしい。
そして、フィアルがこれを手にした途端にゴブリンの群れが湧き出したというのだ。
そこで呼び出されたのが俺というわけだ。
どうやら、魔剣は何もない時は、柄だけしか無いらしく、俺が呼び出された時に刃が付くらしい。
つまり、永遠に刃が朽ちる事は無い、実際魔剣の利点なんてそんなものだ。
とにかく、フィアルがゴブリンの群れから抜け出し、俺が現実に戻った時には日が暮れていた。
さすがに、学校に生徒は残っておらず、まだ残っていた教師からも注意を受けた。
それからは、ほぼ毎日呼び出され夜に学校を出る生活を送っている。
ちなみに成績は、最下位一歩手前まで落ちましたとさ。