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半分は、私の。もう半分は、貴方の。  作者: 珱琅小桃音
1章
4/4

出会いたい。


「おはよう。お母さん。」


「葉喜?ああ、居たのね」


ある日の休日、僕が起きた頃にはすでに出掛ける準備を済ませていた僕の母親。


「どこか行くの?」

「ええ、ご飯は自分で買ってちょうだい。それじゃあ、いってきます。」


いつもイライラしているお母さんが珍しく上機嫌。いや、これが普通なのか。


「いってらっしゃい。」


僕が声を出す頃にはもうお母さんは出て行っていた。


「…どうしよう。」


休日というのは、僕にとってはとても苦痛だ。

何をしたい、というのが僕にはないから。暇、なんだ。


とりあえず家に居ても何も無いから、外に出ようと思う。


よく、引きこもりっぽい、と言われる。だが、それは全く違くて僕は外が好きだ。


歩くことも、嫌いじゃない。ただ、走ることは嫌いだ。なんとなく。


白いTシャツにジーパン、というラフな格好をしているのは街に僕だけだった。


みんな、忙しそうに足を動かしていて、顔まで強ばっている。つまらなさそうだ。


さて、どちらに行こうか。


僕の家を出て、50mほど行き、左に曲がる。そしてまた、50mほど行くと分かれ道にたどり着く。


学校に続く道は、右。


ならば、左に行こうか。


あまり行かない方向には、楽しみという感情を抱く。


人気があまりなくて、静かだ。ああ、好きだな。


前から吹いてくる風のせいで伸びきった髪の毛が目に入る。


今週末にでも切りにいこうかな。


そんなことを思っていると、またもや分かれ道。


ここからは完全に未知の世界。まあ、どこでも未知の世界だが。


左?右?


先程は左だった。なら、今度は右にしよう。


右に曲がると、さらに人気がなくなった。


心做しか、薄暗くもなった気がする。



「にゃーん。」



明らかに人の声。



「にゃーん。」



猫の鳴き声のマネをしているのか。



「むぅ…おいで?猫ちゃん」


ああ、猫を呼ぼうとしているのか。それならば、奇妙な鳴き声も納得。


声はしているが、姿は見えない。どこだろう。


周りを見渡して、声の持ち主を探す。


いない。どこだ。いない。



どうして、こんなにも。



君に会いたいんだろう。



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