変わらないこの世界。
毎日、同じ道を歩いていると何かしら違いを見つける。
今日は、何が違っているだろうか。
“月が半分になりました。”
そんなニュースが流れているのに、皆は至って普通だ。
普通すぎるくらい、普通だ。
たしかに、月が半分になったって外観が損なわれるだけであって、大して影響はない。
悲しいなぁ。あんなにも綺麗なのに。
この世界で、月のことを気にしているのは僕だけなのだろうか。
そうだとしたら、僕はきっとおかしい奴なんだろうな。
“…なんか、きもちわるい”
クラスの人々、学校の人々、母親。
みんな、僕を気持ち悪いと言う。
どうしてだか、考えようとした。
だけど、途中で諦める。だって、どうでもいいから。
他人の評価が絶対なこの世界で、きもちわるい。という言葉は最悪だ。
だけど、何故か、どうでもよかった。
誰に何を思われようと、どうでもいい。
ただ、ただ…。
この続きは、真っ白。
隠された言葉なんて何一つない。
また、モヤモヤ。
よくあるんだ。こういうことが。
何かを思ったはずなのに、頭の中は真っ白。僕の知らない僕が心の奥底で叫んでいること。それは、少なくとも今僕が認識している僕は、絶対に知ることが出来ない。
モヤモヤ。モヤモヤ。
この不快な感覚をどこかに吐き出してしまいたい。
生憎、この世界は僕のことが嫌いなようで、“居場所”というものを作ってはくれていない。
少し、違ったな。
この世界は、とあるが僕が知っている世界はここしかなくて。
なぜ、その言葉が頭の中に浮かんできたのかはやっぱり分からない。
「…ふぅ」
息を吐き出して、フル回転させていた脳みそを休ませる。
朝から、運ないな。
月が半分になって、何が変わったって。
何も、変わっていないんだよ。
そのことが、1番変わってる。
この世界は、嫌な世界だ。
この世界、は。