第三十五話 ウォーター
「うむ、適当じゃ!」
大魔法使いはそう言った。
ほんとにそうなのだろう。
現代社会でも、極みの域に達した、人のカンというのはすごい。
例えば、現在の金属を削りだしたりする、フライス盤の精度はかなり凄く。0.01mm以下の精度が出る。
しかし、それを作る、標準となる水平は実は人間が出している。
本当にミクロの世界では、人間、特に達人の方が精度を出せるのである。
そして、これは他の人に伝えられない。
だいたいみんな、カンとか適当とか言う。
こういう職人のカンの再現性を高めて実行するというところに
科学は時間を使ってきたのだ。
その精度に追いつくように、
少しずつ少しずつ精度が上がってきている。
もう、かなり最先端だとひとつの要素でケタが上がるようなことはないからだ、いくつかの要素が少しずつ上がっていくのだ。
ギアの性能があがった。モーターの精度が上がった。CPUの精度が上がった。それぞれが一定基準を満たしたと時に、グッと精度が上がってきたのだ。
この例のように
僕も、どちらかというと、大魔法使いの能力を、そのまま、真似するのではなく、再現性が保てるように、真似していきたい。
「適当なんですね。すごい!」
「ファッファッファ」
本気でそう言った。
「感想戦ありがとうございました!大変勉強になりました。」
「どういたしましてじゃわい、ワシも勉強になったわい。この年で学べることがあるとは」
「何歳でだって、学べますよ!」
僕は本当にそう思う。真のプログラマーは何歳になったって、学んでいる。
「そして、これからも僕に教えてください。まずはウォーターから」
「フォッフォッフォ、急ぐな急ぐな。まずはご飯にするゾイ。そこの二人もおなかすいてるじゃろう」
「おうョ、ペコペコだァ」
「はい!」
ガルクとラクスは言った。
「そういえば、長いこと歩いて来たんでした。夢中になりすぎて忘れてました」
僕もそういえばお腹が空いていた。
「フォッフォッフォ、その集中力があの魔法を生み出したのじゃろう、大したもんじゃわい」
「ありがとうございます。とても楽しかったので、すみません」
「これからも、どんどん魔法覚えたいです。ウォーター早く覚えたいです」
と言った。
そして、耐え切れなかったので試した。
「こうかな、ウォーター(MP小、スピード速い)」
と試しになにもない方角に向かって放った。
高速の水が、腕から放たれた。
「おお!出た!」
「なんと!一瞬で使えるようになるとは、ほんとお主何者じゃ!」
たぶん、呼び出す系の技はおなじ仕組みなのだ。
オーラを手に呼び出しまとってプログラムで言うところのAPIを叩く。この世界だとファイヤーやウォーターなどのキーワードを叫ぶ。これが簡単な魔法の呼び出し方。これで呼べるように、だれかがプログラムを組んでいる気がする。これを組んだ人を探したい、と僕は思っていた。
「あそびを覚えた子供のようじゃわい」
「すいません、夢中になってしまいました」
「ごはんにしましょう!」




