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時廻奇譚 〜あなたに捧ぐ、恋物語〜  作者: 日ノ宮九条
第九章 新たな出会いはバトルの幕開け!?
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第89話 爆弾発言と書いて失言と読む

【桜庭瑞希】


ーーーなんだかんだと忙しかった8月が終わり、9月になった。


八月十八日の政変以降、晴れて「新選組」になった私たちに、かの有名な「局中法度」というものが正式に隊の規則となり、それに違反したものは切腹ということになった。


ちなみにその「局中法度」は、


ー、士道に背しないこと。

二、隊の脱走を禁じる。

三、勝手に金策をしない(つまり、勝手にお金借りたりアルバイトしたりしない)。

四、勝手に訴訟を起こさない。

五、死闘は禁じる。


以上の5つである。


まぁ、ぶっちゃけこれさえ守ってれば問題ないはずなのだが、確か、とくに一、二、三を破って切腹させられる人が多かったんだよなぁ。


とりあえず、間違ってもこんなところで切腹は嫌なので絶対に破らないようにしよう。


ほんと、シャレにならないから。



********************



「お、瑞希!いいところに!」


昼の巡察を終え、屯所に戻ると何やら嬉しそうな、満面の笑みの新八君が知り寄ってきて、そう言うや否や彼の部屋へと連行されることになった。


「ちょっと、新八君!?いったいなんなのさ!?」

「行ってからのお楽しみ!!」


ーーー行ってからのお楽しみ?


なんだそれは。


気になるじゃないか。


「左之、平助、瑞希も連れてきたぞ〜」


部屋には困惑顔の2人ーーーおそらく彼らも新八君に訳が分からぬままそこにいさせられているのだろうーーーがいた。


「瑞希まで呼んで……いったいなんなんですか、新八?」

「まぁ、新八が無駄に笑顔な時点で嫌な予感しかしないけどね」

「……それは同感です」

「うわ、ヒッデー2人」


ひょいと肩をすくめた新八君が、それでも満面の笑みで懐から数枚の、何か絵が描かれた紙を取り出した。


「なっ!?」

「ほう……?」


その絵を見た瞬間、平助君は顔を真っ赤に、原田さんは片眉をあげて感心した表情に変わった。


「すごいだろーこれ!!」

「確かに……良い出来だね」

「ふ、ふざけないでくださいっ、新八、左之っ!!何がいい出来ですかっ!!」

「平助は真面目だなぁ。……なぁ瑞希、お前はこれ、いいと思うだろ?」


ニヤニヤとした妙な笑みの新八君が私の方を振り返り、手に持っている紙を差し出した。


「ちょっ、新八っ!!瑞希になんてものを見せて……っ!!」

「……新八君」

「なんだ、瑞希?」

「……この下手な絵、何?」


ーーーしん、と、室内が静まり返る。


いや、だってさ。

なんか、人らしきものが書かれてるのはわかるんだけど、いまいち要領を得ない。


ーーー何、これ?


「……瑞希……お前……っ!男なのにコレの存在自体を知らないのかっ!?」

「へっ!?」


お、男ならみんな知ってるものなのか!?


慌てて後の2人の方を見ると、平助君は驚いたような表情、原田さんは何か意味深な笑みで私を見つめていた。


ーーーこ、これはやばいかも!?


私が女だと知っている原田さんならまだしも、平助君と新八君は不審に思うんじゃ……!?


うわぁ、どうしようっ!!


「瑞希は真面目なんだね。コレを……春画を知らないなんて」


あわあわしている私を見かねてか、原田さんがそう助け舟を出してくる。


「へ?春画?」

「そう。春画は男女の情事についてを描いた絵のことを言うんだよ。別名は枕絵」

「ああ、なるほど。つまりエロ本か」

「「「えろほん?」」」

「……あ、いや、なんでもないです」


つまり、春画っていうのは男が見るちょっとエロい描写の絵巻物ってところか。


「いやぁ、でも安心したぜ。瑞希が一応春画のこと知っていて。ちょっと呼び方が違うみてーだが」

「いや、初めて見たけど」

「なっ!?ほんとか、それ!?」


目をまん丸に見開き、信じられないという顔をする新八君と、なぜかほっとした表情を浮かべた平助君。

相変わらず原田さんは私が女だと知っているからか楽しげな笑みを浮かべている。


「っていうか、これ、別にそんなにすごいものでもなくない?」


確かに、よくよく見れば女の人と男の人がきゃっきゃうふふなことしているようにも見えるが、ぶっちゃけ、絵自体が俗に言う浮世絵みたいな感じになっているせいで、体のラインがはっきりとわからず、なんか折り重なった二つ頭の化け物のようにしか見えない。


「いやいや、これ、巷じゃ人気の春画なんだぜ!?この女の裸体とか、めちゃくちゃ色っぽいだろ!?」

「いや、別に女の人の裸体とか見慣れてるし」


ほら、修学旅行とか、あと着替える時とか、同学年の女子の裸よく見てたし。

……いや、別にそんな凝視してたわけじゃないよ?

そうしなくても目に入ってくるんだから。


「って、あれ、新八君?平助君も?何顔を赤くしてるの?」


両者ともにリンゴみたいに顔を真っ赤にしているから驚いた。


どうしたんだ?


「み、瑞希……。お前……。見かけによらず、かなりのヤり手だったんだな……」

「ん?」


なんのことか、と、自分のさっきの発言を思い浮かべてみる。


………………………………。


………………………………。


…………………………ん?


あああっ!!


自分の失言に気づいた私は一瞬にしてほおに集まる熱を感じながらブンブン首を振って叫んだ。


「ち、ちっがーーーーーうっ!!そういう意味じゃないからっ!!」


ーーー私は今は男の格好をしている。


そんな私が、つまり、平助君たちには(・・・・・・・)男だと思われている(・・・・・・・・・)私が「女の人の裸なんて見慣れている」などといえば、つまり、そういうことになってしまう、というのについさっきやっと気が付いたのだ。


ーーーそりゃあ、そんな爆弾発言聞かされたら二人とも真っ赤になるわっ!!


「以外に大胆だね、瑞希は」

「なっ!!」


原田さんのセリフにますます真っ赤になる私以下2人。


ーーーなに火に油を注ぐようなこと言ってんだこの人はっ!?


この心底楽しそうな顔、わかっててやってるよな!?


この人もどっちかっていうとS気質だよなっ!!

沖田さんほどではなくとも!!

あ、でも、貶されるのも好きだからMかっ!?


どっちだ!?


ーーーかくして、原田さんの(爆弾発言)が投下された結果、私はこの後一時間近くかけて2人の誤解を解くべく奔走することになるのだったーーーーーーーーーーーーーーーー。


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