第28話 幹部トリオの考え
【桜庭瑞希】
沖田さんとの研修期間も終わり、暦は4月に変わった。
この時代はまだ温暖化とかはないので、現代よりも寒かったが、さすがに四月ともなると暖かさが増してきた気がする。
そして程よく暖かい日中というのは………。
「ふわぁ……」
そう。眠いのである。
「ははっ、瑞希、お前、でっかいあくびだなあ」
「あ、新八君」
私の部屋の前を通りかかった新八君が太陽みたいな笑顔でそう言ってくる。
新八君は隊士の中でも気さくで結構付き合いやすく、私もすぐに友達になれた。
「仕方ないじゃん。暇なんだから」
「今日は非番なのか?」
「うんそう」
「ふーん?んじゃあちょっと付き合えよ」
「はい?」
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満面な笑みで連れてこられたのは新八君たちの部屋だった。
「あ、瑞希じゃないか」
「げっ、原田さん」
新八君の部屋にいた、昼間から色気を発散しまくっている原田さんに私は思わず後ずさる。
この人は何を思ってか、近づくと体に触ってくる変態である。女だとバレないためにも要注意人物だと思っている。
ちなみに、新八君の部屋といっても、この部屋は新八君と原田さんと、あともう一人、平助君の相部屋だ。
「瑞希ですか。こんにちは」
「ああこんにちは、平助君」
平助君は新選組の他の隊士の人たちと違って礼儀正しい。
なんでも、なんとか藩のご落胤らしい。
つまりはお坊ちゃん、ということだ。
「それで、新八君、私をここに連れてきて、なにかやるの?」
「んー、別に、そういうわけじゃないけど、暇なら大勢でいた方が楽しいんじゃないかなってさ」
どうやら私の暇を紛らわせてくれようとしていたらしい。
やっぱり、新八君は良き友だ。
「暇なら俺とおしゃべりしようか瑞希?」
「いえ結構です」
妖艶な笑みを浮かべて手を伸ばしてくる原田さん冷たくあしらい、平助君を挟んで反対側に座る。
「ふふっ、釣れないね、瑞希」
「……何やってるんですか、左之」
「なにって、もちろん瑞希を誘っているんだよ?」
「気持ちの悪いことを言わないでください、左之」
本当だよ!!今は一応私、男の格好してるんですからね!?
平助君の冷え冷えとした言葉に同調するように頷く。
「愛に性別は関係ないと思うけど?」
「え、まさか原田さんってホモなんですか」
そうだったら今以上に距離を取らなきゃ。
「「「……ほも?」」」
不思議そうに首をかしげる三人にはたと気づく。
しまった。この時代にホモって単語はないんだった。
「だ、男色ってことです」
慌てて言い直すとああ、と頷く原田さん。
「いや、残念ながら俺にそちらの趣味はないよ。ただ、たまたま好いた子が男だったというだけさ」
「はぁ?」
何言ってんだこの人。
頭大丈夫かな?
「うん、その蔑むような眼差し、いいよ。ゾクゾクする」
うっとりと目を細める原田さんに私はまた別の恐怖心を抱いた。
やばい。この人、そっちの気があるのか。
ホモでドMって、もう美形がいろいろ台無しだよ。
「まぁ左之の冗談はともかくとして……」
原田さんの発言を軽い冗談だと思ったらしい新八君が爽やかな笑顔で話しを変える。
「そういやと思ったんだけどさ、瑞希と桔梗って、どういう関係なんだ?」
「はへ?」
……どういう関係?
「というか、桔梗って何者?俺、あいつとあんまり喋ったことないんだよな。なんていうか、あいつ、取り付きにくい、というかなんというか、なーんかこう、話しかけるきっかけが掴みにくいんだよなぁ」
「そうですね。僕も、彼とはほとんど話したことがありません」
「俺もだな。彼は男とは思えないほど綺麗な顔をしているし、なんて言ったってあの髪と瞳の色はなんとも神秘的だと思うのだよ」
「確かに、桔梗って、島原の女よりよっぽど綺麗な顔してるよな」
「それが逆に話しかけずらいのかもしれないですね」
どうやら、三人は桔梗君……晴明君に興味はあるが話しかけるきっかけがをつかめずに気軽に付き合えずにいるらしい。
「つっても、桔梗本人があまり人と関わりたくないなら俺らも無理にとは言わないけどさ、そこんところ、どうなんだ、瑞希?」
「私も、あって間もないから桔梗君のことをなんでも知ってるってわけじゃないけど、すっごく優しい人だよ」
確かに、晴明君のあの美貌はちょっと気後れしちゃって取り付きにくいかもしれないし、彼自身も、なんというか、人より一歩下がって行動しているというか、周りから見たらあまり話しかけないほうがいいのかなって思うのかもしれない。
と、脳裏にパッと花が開くみたいにとある閃きが掠めた。
「ねぇ、新八君、平助君、原田さん。私、ちょっと考えてみたんだけど……」
これでうまくいくかはわからないが、試してみる価値はあると思う。
私の案を聞いた三人は大きく頷き、協力してくれると言ってくれた。
さて、それじゃあプロジェクトーーー晴明君と仲良くなろう!!を開始しますかっ!!




