表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時廻奇譚 〜あなたに捧ぐ、恋物語〜  作者: 日ノ宮九条
第九章 新たな出会いはバトルの幕開け!?
108/177

おまけ小話④ 幕末調理実習

【桜庭瑞希】


「ーーーところでさ、瑞希。君、料理ができるんだってね?」


ーーー原田さんとの昼の巡察を終え、そのまま彼の部屋にて、ルームメイトの新八君、平助君を加えて団欒していた時、原田さんがふと、そんな事を言いだした。


「え?……そりゃあ、まぁ、少しはできますけど……」

「じゃあちょっと俺たちにも教えてよ」

「はい?」


ーーー何を突然言いだすんだ、この人は?


「お、それ面白そうだな!」

「……僕も、習いたいです」

「ええっ!?」


新八君は兎も角、平助君も!?


「い、いやぁ、私の料理の腕なんてそんな、たいした物じゃないし……」

「いや、十分すごいぜ?俺なんか刀は持った事あるけど包丁はないぞ?」

「そこは誇るところじゃないと思うよ、新八君……」


胸張るべき場所でもないよ?


「で、教えてくれるの、瑞希?」

「…………はぁ…………わかりましたよ……」


仕方ない。料理はそれなりにできるし、やれる事はやってやるか。


「「「やった!!」」」


そんな私の返答に、三人は三者三様のガッツポーズをしたーーーーーーー。



********************



「…………原田さん」

「……………………………………うん」

「…………平助君」

「……………………………………はい」

「…………新八君」

「……………………………………お、おぅ」

「どうしてこうなるわけ?」

「「「……………………………………………………………………………………」」」


ーーー私の後方には料理人などが見たら発狂しそうな、阿鼻叫喚な光景が。


ーーーそして、目の前には調理場にて並んで正座する三人がいた。


私は口角のみを吊り上げた冷笑を浮かべ、両手を組んで三人(馬鹿共)を見下ろした。


「原田さん」

「………うん」

「私、火元から目を離すなって言いましたよね?」

「………………」

「平助君」

「は、はいっ」

「私、調味料はちゃんと測って、具材も指定の物を入れるようにって言ったよね?」

「………………」

「新八君」

「おぅ……」

「私、どうして手元見て調理器具諸々を洗わないのかな?」

「………………」

「ねぇ、あんたたちさぁ…………」



ぶゎあか(・・・・)なの?」

「「「………………………………………………………………………………………………………………………………………」」」


一斉に顔を背ける三人。


ーーーおい。

目ぇ逸らしてんじゃねーよ。

現実見てみろよおい。

この状況、どーよ?


ーーー焼け焦げて真っ黒になった鍋&火元。


ーーーもはや原形をとどめない、毒々しい色をした物体。これを私は断じて料理とは呼びたくない。


ーーーそして極め付けは床に散乱した、割れて粉々になった皿と壊れてバラバラになった調理器具の数々。


ーーーこの惨状、いったいなんと表現すればよろしかろう?


さて、ここで、だ。


この事態を引き起こしたのはこの三人である。


それらすべては本人たちの不注意。


彼らを統括していた私自身に罪がないかと言われれば、それはあるとしか答えられないだろう。


しかし、だ。


果たしてこの三人に罪はないと言えるであろうか?


ーーーその答えは“否”。


ーーーそれを意味することは、つまりーーーーーーーーー。



「こんの馬鹿共っ!!!!!お前らもう二度と調理場に入んなぁあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」


ーーーかくして今日も今日とて私の絶叫が轟いたーーーーーーーーーーーー。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ