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時廻奇譚 〜あなたに捧ぐ、恋物語〜  作者: 日ノ宮九条
第九章 新たな出会いはバトルの幕開け!?
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第94話 偶然の出会いは唐突に

【桜庭瑞希】


「むぐっ、むぐっ!!」


ああ、もうっ、これ取れないなっ!!


ーーー私、桜庭瑞希は現在、とある蔵にて監禁中である。


「むーーー!!むぅーーーーー!!」


縄でぐるぐる巻きにされ、猿轡をかまされている今の状況下においてあまりにも能天気に思えるかもしれないが、「ああ、地上にあげられた海老ってこんな気持ちなんだろうなぁ」などと思ってしまったのはご愛嬌だ。


ーーーまぁ、すなわち私は軽い現実逃避中なのである。


さて。


なぜ私が今現在こんな状況に置かれているのかというと、それは今から5時間ほど前にさかのぼる……。



********************



9月最終日のその日。


私は平隊士の人たちとともに昼の巡察のため京の街を回っていた。


ーーーのだが。


「あ、あれぇ?」


ーーー私は他の隊士と逸れ、実質遭難していた。


ことの発端はとある浪士たちの喧嘩だったのだが、それらを処理ーーーもとい制圧しているうちにみんなとはぐれてしまったのだ。


心底、今は洗濯中のために新選組隊服ーーー浅葱色の誰でもよく知るあれを着られ無かったことが怪我の功名だと思えた。


ちなみに、あれは壬生浪士組が「新選組」に改名したすぐ後くらいにもらっていたのだが、はっきり言ってめちゃくちゃ目立つし、派手な色はあまり好きじゃない私はこっそり着ていなかったりしたのだが、それは秘密である。

バレたら土方さんになんて言われるかわからないからね。


とにかく、あんな派手な衣装を着た、一発で新選組隊士だとわかるような格好で迷子のようにウロウロしていたらそれこそ土方さんの雷が降ってきそうなので、昨日間違って洗濯してしまった自分に感謝だ。


「……困ったなぁ……」


ーーーもういっそ屯所に帰っちゃうか。


いや、でもそれは後が怖いしなぁ……。


辺りを見渡して仲間を探しながらしばらく歩き回る。

が、早々みんなを見つけられるわけでもなく。


彷徨い歩いたせいで知らない蔵のような建物がいっぱいある倉庫街みたいなところに来てしまった。


「うわぁ、どうしよう。本格的に迷ったかも……」


ーーー来た道を戻ろうと決め、とある蔵の前を通りかかった時だった。


ーーーガタンッ!!!!


「え、何!?」


ーーー今この蔵の中からすごい音聞こえたよね!?


な、なんだろ?


さて、どうしようか、と、一瞬迷ったが、いまは頼れる人はいないし、まさかこのまま放置するのも後味が悪いと思い、そっと蔵の戸に近づいた。


それをそっと開けると、そこには……。


「えっ!?」


ーーーそこには5人ほどの若い女性と一人の青年が転がされていた。


「ひっ……」


突然の乱入者の登場に、とりあえず意識はあるらしい女の人たちが一斉に怯えた声を出した。


「あ……」


ーーーと、ぼーっとしてる場合じゃないよ!!


私は慌てて石化状態から脱却すると、蔵の中に入り、女の人たちへと近づいた。


ーーー一人、殴られたりでもしたのか少しぐったりしている青年はどうやら意識がないようだが、命に別状はなさそうなのでとりあえず後回しにする。


「む、むぐ……」


近づいてきた私をなんと勘違いしたのか、女の人たちが怯えたような声を出したのでーー!といっても猿轡のせいで言葉にはなっていないがーーー私は晴明君がいつもしているのを参考にして優しく微笑んで言った。


「安心してください。私は通りすがりの者です。皆さんに危害は加えないので怖がらないでください」


私の言葉に、女の人たちの怯えが幾分か収まったように感じられた。


それを見届け、私は素早く女の人たちを拘束する縄を解こうとその中の一人に近づいた時だった。


「んんっ!!」


ーーー彼女たちの目が見開かれ、何かを警告するように私をーーーいや、私の後方(・・・・)を見た。


そんな彼女の反応と、その瞬間に気がついた後ろの気配(・・・・・)に振り向きかけて……。


「っ!!しまっ……!!」


ゴスッ


ーーー目の前を走った火花と、頭部へ何かが振り下ろされる衝撃音とともに、私の意識は闇に落ちた。



********************


……………………………………………。

……………………………。

………………。


「ん……」


後頭部の鈍い痛みとともに、薄ぼんやりとした意識が覚醒していく。

ジクジクと痛む頭のせいで鈍い思考回路をフル回転して気絶する前になにがあったのかを思い出そうと試みる。


ーーーああ。


そうだ。


確か、怪しい蔵で捕まってるらしい女の人たちを見て、助けようとして……。


後ろから来た奴らに気付かなくて……。


ーーーそこで私は自分が縄でぐるぐる巻きにされた上に猿轡を咬まされているのに気がついた。


「むぐっ、むぐっ!!」


ーーーああ、もう、これ取れないな!!


「むーーー!!むぅーーーーーーー!!」


ジタバタ釣られた海老のごとく動きながら声を出そうと試みるもうまくいかない。


ーーーこれは本気でまずいかも?


そう、今更ながらさっと血の気が引くのを感じた時たった。


「目が覚めましたか?」

「!!」


ーーー突然かけられた声にびくりと肩を震わせる。


顔にかかるうっとおしい前髪を頭を振って払い、声のした方を見上げるとそこにはさっきぐったりとして気を失っていた若い青年が身を起こしてこちらを見下ろしていた。


ーーーくっきりとした二重まぶたにスッと通った鼻筋。

色白で、今は少し青ざめているが、アイドルのような端正で甘い顔立ちをしているーーーにもかかわらず、どこか落ち着いた感じのする、独特の雰囲気を持っている青年だ。


ーーーええと、どちら様?


「むぐ?」


おおう。

猿轡のせいで言葉が喋れないぞ!?


「ああ……今外します」


私の心情を察してくれたのか、青年は慌てて私の猿轡と縄を外してくれた。


ん?


あれ?


なんでこの人、さっきまで私と同じようにぐるぐる巻きだったのに今は自由の身なんだ?


「それはちょっとした技を使ったからですよ」

「えっ!?」


な、なんでこの人私が思ってることわかったんだ!?


「全部顔に出てますよ」

「へっ!?」


クスリ、と笑った青年の言葉に、またもや動揺する。


ーーーこの人一体何者なんだ!?


「ああ、そういえば……自己紹介をしていませんでしたね」


私の内心を知ってか知らずか、青年は優しげな笑みを浮かべていった。


「初めまして。私の名前は山崎丞(・・・)といいます。どうぞよろしく」

「え……?」


ーーー今日一番の驚くべき事実に、私は返事も忘れて呆然と彼の顔を見上げた。




祝100話目(笑)


新キャラ登場です。


次の更新までに活動報告で小話を投稿する予定なので、そちらの方もどうぞ宜しくお願いします^ ^





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