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愛は止められない

作者: 末次尚子

「 難病患者の家族として生まれた自分の役割 」


 ひろくんが天国に引越して、もうすぐ7年になります。

 ひろくんは「血友病」という難病患者としての重荷を背負い、1965年に私達の家族として選ばれて、生まれてきました。


その時私は3歳と半年目、そのことが人生のドラマティックな幕開けとなる事件でした。

「血友病」は血液の凝固因子である第八因子に異常が起こる病気で、出血し始めると止まらなくなる病気です。

ひろくんはその凝固因子が0%で「血友病」の中でも重度にあたり、少しのケガでも命取りになるような大事に至ってしまいます。

そのことを担当医より告げられてから私達家族は、ひろくんを宝物のように大切に大切に育てることに全エネルギーを注ぎました。

いつ消えてしまうか解らない命の灯を守るように。


ひろくんが生まれる以前、私は、父母にとっては初めての子供として、また祖父母にとっても初孫として、家族や親族みんなに愛されお姫様のように育つはずでした。

そのストーリーは一変して、私には、ひろくんを危険から守るサポーターとしての役割が与えられました。

当初はすんなりその役割を受け入れることは出来ず、素直でひょうきんな持ち前の愛されキャラに、ひねくれたふくれっ面をあわせ持つ性格が造られたように感じます。


「血友病」は歴史からみると、ビクトリア女王の子孫が患者の代表として挙げられているところから「王家の病」と言われる反面、ひろくんは「血友病」のために繰り返す内出血から重い障がいを持つことになるということを

子供の頃母親から聞きました。

「ひろくんの病気は誰にも言ったらあかんよ。」という母の言葉に、何とも言葉では言い現せない悲しみと違和感が感じられたのをはっきり覚えています。


当時、障がい者に対する差別意識がまだまだ強かったため、母も辛い思いをしたのでしょう。

そのことが、私の今の福祉に対する思いに影響することとなりました。


難病患者の家族として生まれた自分の役割は、ひろくんと過ごした毎日、出会いと死を通して、病気や障がいがあっても懸命に生きている人達と共に、与えられた命を輝かせて生きていくサポーター役を神様から与えられたのだと実感しています。


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