Late Riser
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これは、高校2年生、筒井 恭輔のとある3日間の話である。
ーDay 1ー
6月下旬の朝。今日は月曜日。天気は梅雨の季節らしからぬ快晴。
いつもの月曜日なら、今週も頑張りますか。と、心新たに登校するはずなのだが、自分は今、大変憂鬱である。
今日から「遅刻指導」が始まるのである。
自分が通うK高校は、全学年、毎朝8時25分に校門をくぐらなければならならず、その時間にたった1回でも遅れてしまうと、「遅刻」となり、その次の平日3日間、毎朝8時に「遅刻指導」として登校しなければならないのだ。
自分は先週の金曜日に遅刻してしまったので、今日から3日間、朝8時に登校しなければならない。
眠い。重い瞼を開け、駅へと向かう。
家から学校まで電車に乗って、片道50分。いつもは7時半に家を出て、8時20分に校門をくぐっているのだか、今日は7時に家を出た。少なくとも、あと2日は、毎朝7時10分には家を出なければならないのだ。
睡眠第一をモットーにしている自分にとって、20分早く起きるのは、大変苦痛である。まぁ、それが遅刻したの原因なのだが…。
くそー、と金曜日の自分を恨みながら、駅の改札を通り、電車のホームを歩く。
片手には食パン。急いで胃の中へ。
来た電車に乗ると、いつも乗る電車とは違う顔なじみ。だが、その中には、同じクラスの南 夏希がいた。
心臓が波打った。というのは、自分は彼女に片思いを抱いているのである。
へー、彼女、いつもこの時間なんだ。と思いつつ、じゃ、この時間に乗れば、彼女と一緒じゃん!ナイス遅刻指導!と内心、ガッツポーズ。が、シャイな自分は彼女に話しかけるなんてことはできない。
まー明日もあるんだ、と思ったところで、学校の最寄り駅に到着。
駅から学校へ。頭の中は彼女へいかに話しかけるか、話題はどうするか、などの妄想が広がっていた。
遅刻指導1日目、終了。
ーDay 2ー
昨日と同じ電車に乗るぞ!と意気込みながら、家を出た。正直、遅刻指導ことなんて忘れていた。
昨日の晩に行った彼女に話しかけるまでの流れを再生し、巻き戻し、また再生しを繰り返しながら、家から駅へ。
改札を通り、電車のホームへ。心臓の鼓動が激しい。やべー、やっぱ電車くるな。とか思っていたら、「電車が来ます。黄色の線までお下がりください」とアナウンス。
胸の高まりと苦しみが同時に押し寄せる。吐きそうだ。
電車が来た。両開きの自動ドアが開く。車両には、やはり彼女の姿が…。
ヨシ、行クゾ!緊張するな…。頑張れ、自分。
彼女に話かけた。
「お、おはよ、う!」
…噛んだ…。でも、よくやった!
が、彼女は決まりが悪そうに、
「おはよー」
と一声。え?自分って嫌われてる?傷いた。
「南さんって、いつもこの電車なの?」
気まずくても、話しかけた以上、話を進めなければ、と思い昨日のシュミレーション通りに質問した。
彼女は、目を泳がして、
「…そ、そうだよ。」
と返答。うわー、絶対嫌がってる…。これからどうしよう…。
「へー、そうなんだ。」
とりあえず、相槌を。…ダメだ、これは。すると、気を遣ったのか、彼女が質問してくれた。
「…筒井くんも、この時間なの?」
遅刻指導中だからこの時間に乗ってる。なんてこと、カッコ悪くて言えるはずなく、
「き、昨日からこ、この時間なんだ。…」
と理由は伏せて返す。そこから沈黙。
…シーン…
話題ヲ振ラナキャ!しかし、話題はでてこない。あー終わったなーオレ。
電車、駅に到着。ドアが開く。彼女は人混みに紛れて、どこかへ行ってしまった。
今、頭の中には、絶望感しかない。
いや、前向きに考えよ。彼女は今日、体調が悪かったんだ。…そんな訳がない。
自然とため息がでた。
きっと、出だしがダメだったんだ、また明日、話かけてみよう。もしかしたら…
もし、そのもしかしたらがダメだったら…
遅刻指導2日目、終了。
ーDay 3ー
水曜日、今日で遅刻指導が終わる。そうすれば、また前のように長く寝れる。そーしたら…。
もう、頭の中は、南 夏希 のことを考えるな、とばかりで、逆に意識してしまう。
やっぱり、彼女に話かけてみよう。
諦めきれない自分がいた。
家から駅へ。話題を必死に考える。
あーでもない、こーでもない。
駅、到着。改札を通り、ホームへ。
心臓の鼓動は昨日と同じく激しいが、ただただ不安で仕方がなかった。
「…、黄色の線までお下がりください。」
来た、電車。今日で決まる。そう言っても過言ではない。
ドアが開いた。
…え?彼女がいない…。いつもいるはずの彼女がいない。オレ、避けられた…。やばい、泣きそうだ…。
自分が嫌われた理由を必死に考える。クラスで何か気に障ることしたかな…?昨日、話しかけたからかな…?
なぜだ?なぜだ?
遅刻指導最終日。終了。
翌日。よくよく考えたら、そーいえば先週の木曜日、あの人、遅刻したんだった。
だって、おかしいじゃん、遅刻指導になる前はいつも、自分が教室に入った後に、彼女が入って来るんだから。
fin.
ありがとうございましたm(__)m