心の繋がり
高校生の頃だっただろうか真昼の空の雲をずっとながめていた。
学校の屋上で空に手を伸ばしながらずっと上を見てた。
独り言で
『空はみんな連れていくとね?おいはどげんしたらよかと?』
この日友達がガンで亡くなった。僕は朝、友達の電話で飛び起きそのまま病院へ走った。病院へ着いたときにはその亡くなった友達の母親が泣いている声が病院の入り口の自動ドアまで聞こえてきた。
僕が病室に入るとみんなも来ていた。みんな涙が止まらなかった。俺も涙が止まらない。
中学校からの友達でクラスでも陽気な奴だった。いつも遊ぶ時はあいつがいた。
いつも一緒だった。なんか心にポッカリ穴があいたようだった。拳銃で撃ち抜かれたように…。
僕は震える手でその冷たい頬にふれた。
それから次の日、その亡くなった友達のお葬式があるため、どうしても葬儀に僕は出たかったので担任の先生に朝から葬儀にでたいことを電話で伝えた。
すると担任の先生は
『葬儀は身内でするっちゃろ?なんでわががいかんばとか?』
と先生は答えた。
僕は
『親友が亡くなったとですばい!葬儀ぐらい、最後ぐらい一緒におりたかとですよ。 お願いしますけん明日葬儀に行かせてくれんですか?』
と言うと先生は
『わがは授業のあるじゃろが。葬儀は身内に任せて、ちゃんと授業にでろ。学校来んかったら停学にすっぞ!』
と返ってきた。
僕は
『もうよか!』
と言って電話を殴りつけるように切った。
ちなみに担任の先生に電話する前に自分の親にも葬儀に行きたいと言うと、まったくさっき先生が言った事を言っていた。
僕は強行突破で葬儀には行ってやろうと思ったが、葬儀場まで行くバス代もなかった。歩いて行こうと考えたが大人の足で家から3時間はかかってしまう。
僕はどうしようもなく、次の朝、母が作った弁当を持ちいつもの制服を来て学校へ向かった。
『親も先生もムカつく!バカじゃなかと!』
と、腸が煮えくり返る気持ちでイライラしていた。
他の高校の友達はみんなサボって葬儀にいったみたいだった。
ふと思い、真面目に担任の先生に電話なんかするんじゃなかったと僕は思った。
しくったと心の中で思った。
しくった事に自分に対して腹が立ってきた。ただ腹が立っても、もう後の祭りなのだが…
やる気も無くなり、1時間目、2時間目、3時間目と寝て授業をすごした。というか自分の情けなさとイライラでほとんど寝てはいなかった。ぼーっとしていたのだ。
4時間目が始まる前にトイレに行こうとしたら、放送で職員室にくるようにと僕の名前が呼ばれた。僕は直感で昨日キレて電話を切った事を言われると思った。なんせ担任の先生に向かって『もうよか!』って言ったのはまずいよなぁ…。
職員室に入ると、鬼のような形相で担任の先生が僕に視線を送っている。
心の中で『ヤバい』と感じていた。
睨んでいる担任の先生が、
『なんばしよるか!こっちにこんか!』
と、怒鳴ってきた。
僕は
『すいません先生。僕どうしても葬儀に行きたかとですよ!あいつの顔見れると今日で最後なんすよ!昨日キレて電話切った事は謝りますけん、今日だけお願いします。葬儀に行かせて下さい!』
と言うと先生は
『バカじゃなかとか?なんばふざけた事ばいいよっとか!』
と刺すような言葉で俺の目を睨み付けこう言った。
『1回学校に来んば出席のとれんやろが』
と先生は言った。先生が言った事がその時はいまいち理解出来なかった。
だが次の一言で先生が言いたい事がすべてわかった。
『葬儀は昼からやろが。』
先生は全部知っていたのだ。俺の親友が亡くなったことも、どこで葬儀があることも。
その後先生は、
『早退にはせんけんね。3時までには帰ってこい!
葬儀場までのバス代は弁当の袋の中に入っとるってさっきお前の母ちゃんから電話のあったと!はよ行ってこい。』
と言った。
僕は職員室を出て涙が止まらなかった。先生は僕の親に心配をかけない様に俺に学校には必ず来いといったのだ。先生も親も最初から僕の事を理解してくれてたのだ。
弁当の袋を開けるとたしかにバス代と香典用のお金が入っていた。僕はその瞬間また涙が止まらなくなった。
急いで学校を飛び出し、バスに乗り込んだ。バスの中でも涙が止まらなかった。
無事に葬儀場に着き、葬儀も終えて帰ろうとしたとき亡くなった友達の親が
『学校があるのにみんな来てくれてありがとうね。最後にみんなに会えて嬉しかったと思うよ。こんなたくさんの友達に囲まれて天国にいけるんやからね。』
と言った。 僕は胸が締め付けられる様な想いでその場でみんなと泣いた。
みんなと解散したあと学校へ戻り先生にお礼を言った。
もちろん母にも感謝のお礼をした。
人は言葉でしか伝わらないものもあれば心でつたえるものもある。その人がどう思ってるか考えるのも大事な事。なんせ人は支えあい、繋がって生きているのだから…。
最後まで読んで下さってありがとうございました。下手くそな文で申し訳ありません。