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Dear My Future  作者: 湯たぽん
序章
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序章

31世紀。


人類は彼らが思っているほど愚かではなかった。

第二次世界大戦後、小さな紛争、核問題などによる戦争などを経て、世界は一つにまとまった。




はじめは科学から。

ドイツの医学研究者を中心とした世界規模の巨大な科学同盟”アインス”が発足。

その後全ての分野の科学者達が同盟に参加し、医学から教育までを含む全ての科学、学問をアインスが行うところとなった。


アインスに引き寄せられるように各国の首脳も歩み寄りをはじめ、話し合いによる統一国家の設立という史上類を見ない事態が起こった。

アインスに反発する国々との長い、大きな戦争を経て、ついに人類は完全にひとつにまとまった。




国が統一され、政治もアインスの専門家が民主的な投票により選抜され行うようになった。

全てが統一され、食糧難、貧富の差も次第になくなり

何よりアインスの研究による科学の進歩がめざましく、全てがうまくいっていた。

”精神”の力までも応用することができ、人類はほとんど体を動かすことなく快適に生活できるほど進歩した。







しかし、研究には常に危険がともなう。

クローン実験をはじめとするリスクをともなう研究を一般人から隠し、処理するためのアインス専用の軍が設立された。

その名を”ツヴァイ”という。


設立当初はマスコミへの睨みや一般人から研究内容を隠すための隠蔽工作などが主な任務であったが

研究が進むにつれ危険なリスクを伴う実験をする必要性がなくなり、ツヴァイの意味もしだいに薄れていった。




が、しかし。


3015年8月、その立場は一変した。


謎の現象が都市を襲い、その都市のすべての生命が奪われるという事件が起きた。

ツヴァイは、その隊員のほとんどを失いながらも都市に侵入し調査を行った。


都市では、”実体のない存在(この時、ソレはヒトの姿をしていたと伝えられている)”がほぼ無尽蔵に次々と現れ

それに触れられた者は力を吸い取られ衰弱し、死んでしまうという信じがたい現象が起きていた。


それは全く”未知の災害”と位置づけられ、アインスの最重要研究科目となった。

全く対策を見出せなかったアインスはパニックを抑えるため即座に報道規制をしき、最初の被害地が孤島の都市であったことも手伝って

”ゴースト”と名づけられたこの現象は一般人の記憶には残らなかった。


ツヴァイは、当初対処不可能とされていたゴースト現象に果敢にも挑み、多くの犠牲を払いながらも

ゴーストは当時研究が進んでいた精神波によって対処できる事を発見、精神波による攻撃、防御システムを確立した。

ゴーストに効果のない火器を一切排除し、全隊員に精神波保護スーツ及び精神波攻撃武器を装備させ

ツヴァイは格闘を基本戦闘方法とする対ゴースト専門部隊と化した。


加えて、アインスもゴースト対策を最重要課題として研究を進めた結果、ゴースト発生地予測システムを成立させた。

ゴースト現象により結びつきの強くなったアインスとツヴァイの連携のおかげで

この恐るべき災害が一般人に知られる心配はひとまずなくなった。




そして3034年、再び人類は転機を迎えることとなる




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