深理学者フカミのおはなし 嘘
わたくし、フカミ ユウスケはこの駄話を、たまたま頁を開いた貴方と、この頁を読みたくて開いた貴方に捧げましょう
僕は嘘をつきました。
この言葉は嘘なのか本当か。本当だとしたら、今までの言葉の中に偽が混じってるはずでしょう。
桃から生まれた桃太郎は一人で鬼退治に出掛けました。
僕はいま嘘をつきました。
答えは簡単、一人ではなくお供を連れて鬼退治してきた、ということ。これは嘘というより間違い探しのようですが。
桃から生まれた桃太郎はお供を連れて鬼退治に出掛けました。
僕はいま嘘をつきました。
大筋、原作と違った内容ではないでしょう。でも一つ嘘を仕込みました。わかりますか?
それは、嘘をついた、というところ。
わかった? 簡単でした?
“嘘をついた”という嘘をついたってことですよ。裏の裏は表。嘘の嘘は本当。
ゲシュタルト崩壊、起きてますか?(笑)
嘘という嘘をついた僕は本当ですよ。
……よくわかりませんね。僕も分かりません。
貴方がパニックになる前に、このおはなしを終わりにしましょうか。
嘘も方便、という言葉があります。用法、容量を守った嘘をご利用くださいね。
ちなみに僕はこのおはなしの中にこっそり一つ、嘘を忍ばせました。
あ、わかってましたか。失礼しました。