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013、アイオレイトから逃げ延びた二人

筆者執筆、AI微修正

紅孩公国に漂着者が現れた。

その報を聞き、即席で弁当をこしらえて現場に向かうディアー。

「絶対腹を空かせてる。精が出るもん食わしてやるからな」

そう独り言を言いながら町を疾走していく。


雪と海の過酷な旅をくぐり抜け、アクアとライティスは紅孩公国の岸辺に打ち上げられていた。衣服は海水で重く、肌は冷たさで痛む。体の震えを止めようと必死に足を踏ん張る二人の耳に、聞き覚えのある声が響いた。


「え? ライティス! アクア!」

「ディアー!? なぜおまえがここに?」

ライティスも、久しぶりの声に驚きを隠せない。

「俺、この国で料理人してるんだよ。てか、漂着したの、おまえらだったのか!」


アクアは目を丸くして訊く。

「ディアーが、料理?」

「そうそう、これ。漂着者用に作った弁当だ。食うだろ?」

ライティスは軽く笑い、弁当を手に取る。

「ありがたい。いただくとしよう。アクアも食べよう」

アクアは震える声で言う。

「その前に、どこか温かいところに行きたいわ。体が凍えそう」

ディアーはにっこり笑い、弁当を二人に差し出す。

「とりあえずこれを食ってろ。場所は俺が用意してくるから、ちょっと待ってな」

ライティス「ああ、頼んだ」


ディアーは浜辺から一番近い民家に入ると、そこの住人に声をかける。

「こんちは! エリエルさん家ですよね?」

「そうだけど、どうしたんだい、ディアーさん?」

「俺の大事な友人が凍えそうなんだ。ちょいと温まらせてもらうこと出来るか?」

「ディアーさんのご友人さん! そりゃすぐにお呼びなさい! 私は暖炉に火を入れるから!」

「助かる! じゃあ急いで呼んでくるね」

ディアーは勢いよく民家を出て、ライティスたちの元へ行く。


「お待たせ! 近くの家で休ませてくれるってさ」

「おお、助かる。アクア、行くぞ」

「ありがとう、ディアー」

「いいってことよ。弁当、どうだった?」

「とても美味しかったわ。少し体が楽になったわ」

「……まあまあだな」

「ライティスはこんな時でも厳しいこって。あ、ここだよ。エリエルさん! 連れてきました!」

エリエル「あらあら! 早くうちに入りなさい。着替えを用意するからそれまで暖炉で温まっていて」

ライティス「お心遣い、感謝します」

アクア「ありがとうございます」

ディアー「エリエルさん、厨房と食材使っていい?」

エリエル「後で買い足しといてね。そしたら使っていいよ」

ディアー「任せといて!」


ディアーは厨房で手早く準備を始める。

「よし、出来た。エリエルさん、香辛料しっかりあって助かったよ」

「この辺は花椒とか取りやすいからね。店で売ってるのには私が作ったのもあるくらいだよ」

ライティスは皿に目を落とし、微かに頷く。

マーの代表的なスパイスか」


「おかげで麻婆豆腐が作れた。とろみを少なくしてスープみたいに飲めるようにしてある」

ディアーの手元には、熱々の麻婆豆腐のようなスープが並ぶ。

「ほう」

「それは麻婆スープだね、もう。野菜はちゃんと入れてるかい?」

青菜花チンツァイファーとパクチョイを使わせてもらったよ。もちろん豆腐もしっかり入ってる」

「美味しそう。いただいてもいい?」

「もちろん! エリエルさんの分もあるからな」

「あら、ありがとう。相変わらずよく見てるわね」


アクアはそっとスープをすする。

「……美味しい。少し体が楽になったわ」


ライティスは考え込むように味わい、一言。

「なるほどな」

「どうだ?」

「そうだな。元が麻婆豆腐だからか、野菜と豆腐のかみ合いが少し弱い。これなら豆腐より肉を入れたほうが効果的だろう」

「お、おう……」

「だが、おそらくこれはアクア用に弱ってる人向けなのだろう。それなら、これで大丈夫だ」

「うむ」

「スパイスはもう少し比率を変えて食べやすいようにした方がいい。これでは温まる前に舌が痛くなる」

ライティスの指摘に、ディアーは深くうなずく。

「なるほどね。流石ライティス。料理のことはやっぱり叶わないや」

ライティスは口元を緩め、短く答える。

「でも、まあ……。心配りは感じた」

アクアは微笑み、ライティスをからかうように言う。

「フフ、素直じゃないんだから」


エリエルも優しく笑い、話に加わる。

「しかし、ディアーさんの料理にこうもダメ出しする人を初めて見たわ。この国じゃ随一の腕前なのに」


「なるほどな」

「俺はまだ上には上がいると思ってるんだけどね。料理長とかすげえ美味い飯をたくさん作るの上手だし」

エリエルの家で食事談義が花を咲く。

ライティスとアクアにとって、漂着した先がこの地で良かったと思える、そんな優しいひとときを過ごしたのであった。


アイオレイト村は裂け目の影響で滅んでいます。修復師、縫界衛士がいない環境がどれほど酷か。

それをライティス、アクアが身をもって伝えています。

ちなみに、滅んだ様子はショッキングすぎるので描かないと思います。R18Gになっちゃうので……。

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