012、一人前の修復師と縫界衛士
筆者半分AI半分作成
紅孩公国。
町外れの裂け目の前に立つ春奈は、胸の奥で微かな緊張を感じながら足を踏みしめた。
「初めて自分たちだけで修復作業を行うのか……」春奈の声は、少し震えていた。
夏美もまた、無言で手を握り締める。
「ずっと見てるだけだったから、ちゃんと出来るか心配……」
しかし、冷静なフォルタの声が緊張を切り裂く。
「計算の結果、成功確率は98%。不測の事態が起きなければ、ほぼ確実に成功します」
春奈は少し息を吐き、肩の力を抜く。
「ふう……ありがとう、フォルタ」
「今回の裂け目は小規模と推定。大きな異変は起きにくいものと考えます」フォルタの言葉に、夏美も少し安心したように頷いた。
「よし! やるよ!」夏美は両手のひらで頬を軽く叩き、気合いを入れる。
「分かった!」春奈も声を返す。
「了解!」フォルタが後方で指示を出す。
裂け目の空間が、ゆがみから裂け目へと変わり、周囲の景色が歪む。
「対裂け目用アルゴリズム展開。春奈は私の後方で待機、夏美は修復作業へ」フォルタの冷静な指示が飛ぶ。
「大丈夫、始めてるよ」夏美は自信なさげに微笑むが、その手つきは正確で力強い。
「必要があればすぐに入れ替われるからね」春奈は背後からフォルタに目配せする。
「解析。小石多数確認。春奈、マナブースターを利用して蒸発を」
「任せろ!」春奈が右手を前に突き出すと、圧縮したマナが小石の群れに向かって飛び、瞬く間に蒸発した。
「裂け目修復具合33%。夏美、このまま継続を」フォルタの声に、夏美は黙々とマナを扱う。少しずつ裂け目が塞がっていく。
しかし、裂け目の奥から悪意が迫る。
「フォルタ! 悪意が強まってる! どうする!?」
「警戒態勢を強化。飛来物への対処を――」
だが、夏美は落ち着いて修復を続けた。
「フォルタ、大丈夫。私に任せて」
彼女はマナの一部を裂け目の向こう側へ流し、向こうに囚われた思いにそっと語りかける。
「もう休んでいいよ」
春奈は目を見張った。「悪意が、薄れていく……?」
「不確定圧の減少を確認。夏美のマナの影響と判断」フォルタも分析結果を報告する。
「はは、すごいな、夏美は……」春奈の瞳に尊敬の光が宿る。
「裂け目修復具合66%。飛来物の可能性極めて低下。警戒しつつ待機で大丈夫です」フォルタは冷静さを保ったまま、指示を続ける。
やがて、裂け目はゆっくりと閉じ、あたりに静寂が訪れた。
後ろから、拍手が響く。
「見事じゃ! もう教えることはない。一人前の修復師と縫界衛士じゃ」紅連狼の声が、森の静けさを震わせる。
「……おつかれさま」吹雪も穏やかに頷く。
「小さい裂け目とはいえ、ここまで安全に運べるのは素晴らしいわね」くれはも微笑む。
「慢心もしてないし、覚悟も出来ておる。レン嬢の言う通り、一人前と見てよいじゃろう」白雪が頷いた。
春奈は胸の奥で熱いものを感じ、礼を言った。
「ありがとうございます」
夏美も笑顔で続ける。「これも皆さんが丁寧に教えてくれたおかげです」
「ところで、この後どうするのだ?」連狼が問いかける。
春奈は夏美と目を合わせ、決意を固めた。
「アングリアに帰って、時空管理局に地域限定修復師と縫界衛士として活動することを伝えようと思います」
「そうか、頑張れよ」連狼の声に力強く頷く春奈。
「はい!」
裂け目の修復――それは二人の努力と信念が形となった、確かな一歩だった。
本編から数年後、春奈たちは着実に力をつけてついに修復師、縫界衛士として一人前になりました。
当時は恐怖に向き合うだけでしたが、今はそれを正面から受け止め、修復作業をする。
三人の成長が見えますね。




