『人』と『ヒト』と『他人』とひとらしさ。
五人。
ヒトらしくない人間が五人いた。
彼女は怒る。
道端の虫に。
同級生の友に。
前を歩く人々に。
故に残酷。
彼は悲しむ。
理不尽に殺された虫を。
矛先にされた友を。
無関係な人々を。
暴力しか出来ぬ仲間を。
故に残酷。
少女は笑う。
小さく惨めな虫を。
おどけた自分の友を。
まったく関係のない人々を。
暴力しか出来ぬ仲間を。
悲しむことしかせぬ仲間を。
故に残酷。
少年は蔑む。
汚く死んだ虫を。
悪ふざけをする友を。
そうされて当然な人々を。
暴力しか出来ぬ仲間を。
悲しむことしかせぬ仲間を。
ひとの不幸を笑い飛ばす仲間を。
故に残酷。
そのひとは見向きもしない。
そこに生きていた虫も。
そこに生きている友も。
きっと生きている人も。
暴力しか出来ぬ仲間も。
悲観しか見せぬ仲間も。
嘲笑しか知らぬ仲間も。
陰口しか叩かぬ仲間も。
故に残酷。
五人は並んで歩く。
五人は並んで生きる。
五人は『ひと』とはいえぬ。
五人は五人で人となる。