君とダリアとぬるい水(会話劇風)
男「いやしかし、今日は暑いな。蝉もうるさいし。なんでこの時期なんだよもう」
女「もう、そんなこと言わないの。ぶつぶつ言いながら、ちゃんと花とか用意してるじゃない」
男「ちゃんと買ってきたぞ。ま、花屋に任せただけだけどな」
女「ううん。ありがとう。ちゃんと選んでくれたのは分かってるよ。私の好きなダリア。覚えててくれたんだ」
男「…まあちょっと相応しくはないけど、お前の好きな花だしな」
女「ふふ、変わってないね」
男「もう――3年か。早いもんだな」
女「うん。……大人になると、1年って早いよね」
男「来る時に気付いたけど、駅前のパン屋潰れてたわ。やっぱり色々変わってるな」
女「えっ、うそ。あのクリームパン好きだったのに」
男「跡地はラーメン屋になってたぞ。妙に繁盛してたから美味いのかもな。帰りに食べてみようかな」
女「ふふ、そっかあラーメン屋さんになったんだ。湯気で、あの通りがもっと暑くなりそうだね」
男「あー、でも暑いからラーメンは無しだな。お前も暑いだろ?すまん、浄水、足りなかったかも知れん。すっかりぬるくなっちまった」
女「ううん。暑い中、来てくれただけで嬉しいよ」
男「来年はもっと汲んでくることにするよ。……それじゃあ、また来年な」
女「もう、私の事なんて忘れていいのに……うん、また来年。待ってるね」
男「……あぁ、お前と一緒に、ラーメン、食べたかったな……クソっ、相変わらず蝉がうるせえ。だからここは嫌いなんだ」
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