第6章: 影の中の咆哮(2)
一行は村に到着した。
彼らを待ち受けるものとは――?
彼らは入口で立ち止まった。村は石と木でできた壁に守られており、見た目は頑丈そうだったが、実際はそうではなかった。ちょうど入口の木製の門は、もはや存在しないに等しい状態だった。
エミルは慎重に門を調べた。もしも近くに狼がいるなら、姿を晒すのは危険だった。
そして驚いたように顔をしかめた。どうやら門は一撃で壊されたようだった。しかも、門自体は厚く、破片から見て外側からの一撃だったのは明らかだった。
「そうだな、四メートルってところか」
ムーリンがエミルの後ろから声をかけた。
「心理的な恐怖は敵に向けるもんだ、味方にはやめろよ」
エミルは不快そうにムーリンを睨んだ。
「現実を見てるだけだよ。見ろ、足跡。ひとつだけだ……簡単だろ」
ムーリンは地面を指さした。犬のような足跡がうっすらと残っていた。確かにそこにあった。
「……そうか、リラックスしてる。頼りにしてるよ、お前、強いって聞いてるから」
エミルは答えた。
「プリンケルから加護を受けた。つまり私は……ドラゴンの一部みたいなものだ」
ムーリンは続けた。「力、耐久力。でも、無敵じゃないからな。ただの……上位種ってだけ?」
「……なるほど、多分ね」
エミルはアリザルの方を見た。彼は荷馬車の上でクロスボウを調整していた。そして武器を背負い、軽やかに地面へと飛び降りた。
「さて、皆。作戦はシンプルだ。まず俺が先に入って、囮になる。で、狼を村の中央広場に引きつける。ここは小さな村だ、迷うはずがない。真ん中が広場だ……」
アリザルは皆を見回してから、笑った。
「ムーリン、お前は俺のすぐ後ろだ。民家に隠れてろ。ムタリスが現れたら、即座に前に出て迎え撃て。エミル、お前は側面から。ムーリンが獣を止めたらすぐに動け。ミルリ、首を狙え。ムーン、お前は後方。サポートを頼む。何かあったら、お前が撤退役だ」
ムーンは静かにうなずいた。
「おい、お前は?」
エミルが指を指して問うと、アリザルはクロスボウを見せた。
「後方支援だ。これはセミオートのクロスボウ、5発装填。俺はエネルギーが使えない。つまり、普通の人間だよ」
エネルギーの使い手は、通常よりも強靭で耐久性も高い。
「よしよし、じゃあ時間無駄にするなよ」
エミルが答えた。
アリザルは軽く敬礼のような動きをしてから、素早く家を登り、屋根伝いに走り始めた。
* * *
廃墟のような空気が漂っていた。沈黙が、まるで死そのもののようだった。村のあちこちに遺体があり、血が流れ、恐怖が染み付いていた。
アリザルは地面を踏まずに屋根から屋根へと飛び移り、やがて広場へと到達した。
袋から導火線付きの紙玉を取り出す。即席の爆弾だった。
それに火をつけ、投げ、そして身を屈めて座り込んだ。数秒後、小さな爆発が起き、村に響いた。
待つ。念のためにもう一つ取り出した――が、それを使う前に、路地の奥から何かが現れた。
四メートルはある筋肉質な獣。体毛はなく、青みがかった唾液を垂らし、肌もまた青く、目も青白かった。唸り声が響く……死んだような声だったが、叫びとも唸りともつかない音を発した。
「……よし、パーティーの始まりだ……」
アリザルが呟き、狙いを定めた。
引き金を引くこと、それが戦闘開始の合図だった。
次回――
グループ初の戦闘開始!!