表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/37

第6章: 影の中の咆哮(2)

一行は村に到着した。

彼らを待ち受けるものとは――?

彼らは入口で立ち止まった。村は石と木でできた壁に守られており、見た目は頑丈そうだったが、実際はそうではなかった。ちょうど入口の木製の門は、もはや存在しないに等しい状態だった。

エミルは慎重に門を調べた。もしも近くに狼がいるなら、姿を晒すのは危険だった。

そして驚いたように顔をしかめた。どうやら門は一撃で壊されたようだった。しかも、門自体は厚く、破片から見て外側からの一撃だったのは明らかだった。


「そうだな、四メートルってところか」

ムーリンがエミルの後ろから声をかけた。


「心理的な恐怖は敵に向けるもんだ、味方にはやめろよ」

エミルは不快そうにムーリンを睨んだ。


「現実を見てるだけだよ。見ろ、足跡。ひとつだけだ……簡単だろ」

ムーリンは地面を指さした。犬のような足跡がうっすらと残っていた。確かにそこにあった。


「……そうか、リラックスしてる。頼りにしてるよ、お前、強いって聞いてるから」

エミルは答えた。


「プリンケルから加護を受けた。つまり私は……ドラゴンの一部みたいなものだ」

ムーリンは続けた。「力、耐久力。でも、無敵じゃないからな。ただの……上位種ってだけ?」


「……なるほど、多分ね」

エミルはアリザルの方を見た。彼は荷馬車の上でクロスボウを調整していた。そして武器を背負い、軽やかに地面へと飛び降りた。


「さて、皆。作戦はシンプルだ。まず俺が先に入って、囮になる。で、狼を村の中央広場に引きつける。ここは小さな村だ、迷うはずがない。真ん中が広場だ……」

アリザルは皆を見回してから、笑った。

「ムーリン、お前は俺のすぐ後ろだ。民家に隠れてろ。ムタリスが現れたら、即座に前に出て迎え撃て。エミル、お前は側面から。ムーリンが獣を止めたらすぐに動け。ミルリ、首を狙え。ムーン、お前は後方。サポートを頼む。何かあったら、お前が撤退役だ」


ムーンは静かにうなずいた。


「おい、お前は?」

エミルが指を指して問うと、アリザルはクロスボウを見せた。


「後方支援だ。これはセミオートのクロスボウ、5発装填。俺はエネルギーが使えない。つまり、普通の人間だよ」


エネルギーの使い手は、通常よりも強靭で耐久性も高い。


「よしよし、じゃあ時間無駄にするなよ」

エミルが答えた。


アリザルは軽く敬礼のような動きをしてから、素早く家を登り、屋根伝いに走り始めた。


* * *


廃墟のような空気が漂っていた。沈黙が、まるで死そのもののようだった。村のあちこちに遺体があり、血が流れ、恐怖が染み付いていた。


アリザルは地面を踏まずに屋根から屋根へと飛び移り、やがて広場へと到達した。

袋から導火線付きの紙玉を取り出す。即席の爆弾だった。


それに火をつけ、投げ、そして身を屈めて座り込んだ。数秒後、小さな爆発が起き、村に響いた。


待つ。念のためにもう一つ取り出した――が、それを使う前に、路地の奥から何かが現れた。


四メートルはある筋肉質な獣。体毛はなく、青みがかった唾液を垂らし、肌もまた青く、目も青白かった。唸り声が響く……死んだような声だったが、叫びとも唸りともつかない音を発した。


「……よし、パーティーの始まりだ……」

アリザルが呟き、狙いを定めた。


引き金を引くこと、それが戦闘開始の合図だった。

次回――

グループ初の戦闘開始!!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ