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第3話:屋敷の紹介

ムーンは屋敷に到着し、ある風変わりな人物と出会う。


お読みいただきありがとうございます!



アリザルは授業がほとんどなかった。


宇宙エネルギーを扱えない彼は履修科目も少ない。しかし、それを気にする様子もない。


一方ムーンには、まだいくつかの入学手続きを終えていない科目が残っていた。


授業が終わると同時に、二人は校門を出て迎えの馬車に乗り込んだ。車内に会話はない。互いに口数の多いタイプではなかったからだ。


アリザルの邸宅は王都郊外にある。もとは森に囲まれた隠れ家のような施設だったが、今では厳重な警備に守られている。


十二歳の頃から住むこの屋敷は、アリザルにとって拠点そのものだ。初めは「左遷先か」とさえ思ったが、今では静けさこそが最大の利点だと感じている。


馬車から降りたアリザルは、後ろに続くムーンを振り返った。


「ここが君の新しい住まいだ。気になるところがあれば遠慮なく言ってくれ。正直、外観はどうでもいいんだ。きれいに飾ってあるのは全部、使用人の趣味だからね」



「……わかった」


ムーンはそれだけ言うと屋敷へ歩き出した。


門番が素早く門を開ける。その後ろ姿を見送りながら、アリザルは頬を掻いた。何と言えばいいのか分からず、結局自分も後に続く。



* * *


ムーンが屋敷に足を踏み入れると、数人の使用人が頭を下げて迎えた。彼女は軽く会釈し、そのまま奥へ進む。


しかし――


背後からの気配を察知したムーンは、反射的に相手の腕を取り、畳に叩きつけた。


「誰よあんた!? ここで何してんの!?」



声の主は猫耳と尻尾を持つ少女だった。茶色のショートカットに、機動性を重視したやや短めのメイド服。他の使用人が着るヴィクトリア風の衣装とは一線を画す実用的なデザインだ。


「倒れてる割には威勢がいいな、ミルリ」



笑いながら入ってきたのはアリザルだ。状況をひと目で把握し微笑を浮かべている。


「ご主人様! こんな若い子を連れ込むなんて〜!」



ミルリは床に倒れたまま抗議の声を上げる。ムーンは数歩引いて警戒を解かずにいる。


「彼女は今日からここに住むんだ。ムーン、こちらがミルリ。エルミラ族で、俺の専属メイドだ。ミルリ、彼女がムーンだ。これから同居するんだから仲良くしてくれ」



二人は視線を交わす。ミルリは眉をひそめ床に寝転がったまま。ムーンはようやく構えを解いた。


「……面倒」



それだけ言い残し、ムーンは背を向けて去った。


ミルリは呆然とその背中を見送り、アリザルに視線を向ける。


「……『面倒』って言われたんだけど」



悲しげな顔をつくりながらつぶやく。


「そのうちもう一人増えるかもしれない。その子にはあんなことをしないようにな」



アリザルはミルリに手を差し伸べて立たせた。


「ちっ、本気だったら私が勝ってたし!」



ミルリは腰に手を当て、猫耳と尻尾をピンと立てる。


「さあ、どうかな? 近々証明できる機会があるぞ。狩猟に行くんだ。目標はミュータリスのタイプ3だ」



「おおっ! でもその前に、ムーンに屋敷を案内しないと!」



テンションの上がったミルリは駆け出していった。


「……勇気はどこに行ったんだか」


アリザルは苦笑しつつ溜息をついた。

ミルリが物語に登場しました!

このカオスな猫娘、どう思いますか?


次回は彼女の過去に迫ります!!


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