第35章: この学園は戦場になる
プレフェクト委員会の反応が始まった。
――だが、それは本来の策士によるものではない。
動き出したのは、あのキャロライン。
彼女の描く「作戦」とは、一体……?
「……イーグルとの連絡が途絶えた」
盲目の男が目を開けた。その仮面は、カラスやイーグルと同じものだった。意外にも、曇り空のような灰色の瞳がブランザーに向けられた。ブランザーは黒板を興味深そうに眺めていた。
そしてその後ろでは、オードリスが二本の剣を首に突き付けられていた。後ろには、黒い仮面をつけた二人の男が武器を構えていた。
「プレフェクト委員会が普通じゃないとは思っていたが……イーグルを殺した?元軍人だぞ?」
金属音を響かせながら、動く顎を持つ仮面越しにブランザーの声がこだました。そして隣の盲目の男を見た。
「誰がやった?」少し疑うように尋ねた。
「……エルミラ族の女だ」
盲目の男が答える。
ブランザーは再びオードリスを見て、片眉を上げた。その表情には驚きと興味が浮かんでいた。
「アリザルの猫か……」と、驚いたように、どこか嬉しそうに呟いた。
「面白い相手だな。……他には何を隠している、オードリス?」
そう言ってブランザーは剣の先をオードリスに向けた。
オードリスは肩をすくめただけだった。細い血の筋が彼女の首から流れていた。
ブランザーはため息をつき、剣を下ろして降伏の意思を示した。そして視線を再び盲目の男へと戻す。
「ホーク、全員に伝えろ。アリザル・レンデイラとムーン・フォン・リアルドンを除き、プレフェクト委員会の他の者たちは主要な標的だ。単独行動での交戦は避けろ」
ホークは手のひらにエネルギーを集め、それが震え、火花を散らすように見えた。
彼は両手でそれを握りつぶすような仕草をし、祈るように呟いた。
「……伝達完了」
そう言って目を開けると、鼻の穴から血を流していた。
「完璧だ……」
ブランザーは黒板に目を戻しながら答えた。
「やつらはまだ俺たちについて詳しく知らない。奇襲の利がある。しかも分散している……連携は取れまい」
黒板には学園の見取り図と、プレフェクト委員会の情報、ホークの予知による現在の配置が書かれていた。
――だが、委員会の一人が抜けていた。
* * *
「……そ、それならセクションごとに確保を……」
状況を聞いた後、キャロラインがそう提案した。
机の上には黒い仮面が置かれ、ムーリンの手には血が付いていた。どうやら、敵の一人と遭遇していたようだ。
キャロラインは学園の地図を取り出し、机に広げてプレフェクト委員会の部屋を指差した。
「ま、まだ目的は分からないから、推測しか……」
そう言って、不要と思われる教室を次々と線で消していく。
「……重要では、ない……」
そして、ジム(現在イベントが行われている)にペン立てを置き、生徒会室に丸めた紙玉を、オードリスのオフィスにも同じように置いた。
「し、三つの仮説がある……貴族の子供の誘拐、姫への襲撃、あるいは……オードリス様への直接攻撃……」
「……三つとも調査するのは不可能だ」
ムーンが言った。
「だ、だからこそ各区域を確保するべき。もし相手が学園の掌握を狙ってるなら、計画を変えざるを得ない。行動を誘導できる」
「実現可能か?」ムーリンが訊く。
「ひ、一つの仮説がある……今のところ静かだし、人数も少ない……それに、予知能力者がいる」
キャロラインの口調には確信があった。
「……通信もしているはず。予知が使える者はかなり珍しい……資金もある」
ムーンは何かを考えているようだった。
「……普通のテロリストじゃない……」
キャロラインが続けた。
「……兄……?」
ムーンは困惑したように呟いた。アンドレイ・フォン・リアルドンが関与しているなら、それはさらなる厄介事だった。
ムーリンは拳を握りしめ、剣の元へ向かい、それを手に取ってから出入口へ向かった。
出る直前、ムーンを見て言った。
「西側は私が見る、無茶はするな」
そう言って、彼女は駆け足で去っていった。
ムーンを真剣に見つめていたキャロラインは、ソファに向かい、自分の毛布にくるまった。
聞きたいことは山ほどあったが、怖くて訊けなかった。
なぜ兄がこんなことを?
その疑問が、彼女を混乱させ、そして恐怖に陥れていた。
ムーンは何も言わず、ただ一言だけ小さく呟いて部屋を出た。
「……東側を制圧する」
――沈黙。キャロラインが恋しく思う、静けさ。
「アリザルがまた意地を張るなら、どうせまたミルリとだけ動くわよね……つまり、二人とも注目を集める側……ここには誰も来ない……鍵、かけとこうかな……」
彼女はぽつりと自分に言った。
この小説の更新を再開しました。
長らくの休載、誠に申し訳ありませんでした。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。




