第34章 ミルリVSイーグル
「待たせるつもりか?」
イーグルがわざとらしく心配そうに笑った。
「俺がそんなに弱そうに見えるのか?」
彼は両手を掲げる。指先まで金属に覆われ、その爪は鋭い鉤爪となっていた。
ミルリは身構える。視線がぶつかり合い、イーグルは挑発的に口角をつり上げた。
次の瞬間、イーグルが目前にいた。ミルリは腕を広げ、短刀で鉤爪を受け流しながら距離を取る。
イーグルは勢いを殺さず踏み込み、振り下ろす一撃をミルリは身を低くして回避、即座に反撃。だがイーグルは金属の掌で短刀を受け止め、そのまま奪い取った。ミルリは刀を放し、素手で相手の頬を引っ掻く。
短刀を離したイーグルが後退。ミルリはすぐ武器を拾い直す。イーグルは頬に触れた。
爪痕は深く、筋肉がのぞき血が滴る。
「爪まで獣か……」
「短刀が主兵装だと思ったの?」
ミルリが視線を外さず返す。
イーグルは鉤爪をひらひらさせた。
「いや、猫系エル=ミラのお前らを参考に作ったんだ」
肩をすくめて笑い、負傷した頬を指で示す。
「正直ナメてたが――学習はしたよ」
ミルリが一気に踏み込み右側面を狙うが、イーグルは一歩退き、回し蹴りで壁まで叩きつけた。
好機と見たイーグルが鉤爪を首めがけて振り下ろす。
ミルリは片手を差し込み攻撃を受け止め、もう一方の手で短刀をイーグルの手首に突き刺し、刃をえぐる。
イーグルは苦痛に歪みながら距離を取る。負傷した手を押さえ、怒りで顔が歪む。
「このッ……!」
「長居はできない。遊んでいられないの」
ミルリが遮る。
イーグルは無傷の手で殴りかかるが、ミルリは身をひねって回避。短刀を振るい、イーグルの仮面をかすめ取った。露わになった瞳は淡いヘーゼル。
「クソッ!」
――今の隙は何? と訝るが、考える暇はない。
イーグルは組みつこうと突進し、拳で顔面を狙った後、掌を開き鉤爪で斬りつける。ミルリは蹴りで距離を取り、頬に四筋の浅い傷を負う。
イーグルの手にエネルギーが集まり、鉤爪が伸びる。
「準備しろ! 本当の力はこれからだ!」
ミルリも気を放つ。それを見てイーグルが目を見開く――エル=ミラには不可能なはずだ。だが疑念より先にミルリが動いた。
淡い緑光が風を裂き、虚空に巨大な爪痕を描く――“斬撃の射程拡張”。
イーグルの首、胸、腹を血飛沫が染め、彼は崩れ落ちた。
動かないのを確認し、ミルリは仮面を拾う。殺害の証として。
「……六分弱。アリザルも褒めてくれるわね」
そう呟き、プレフェクト委員会へと足を向けた。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
今回はミルリの戦闘回でした。少し短めでしたが、彼女の戦い方や覚悟を見せたくてこの形にしました。
次回、プレフェクト委員会の仲間たちが再集結します。お楽しみに!
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