第32章:マグニシディオ作戦
候補者の演説当日、新たな敵が現れる。
「明日、全員が配置につくだろう。マリエル・フォン・レイエンの娘は、プレフェクト委員会を十分に楽しませた。そして、そのリーダーは彼女に目をつけている」
陶器の仮面をつけた教団の一人がそう言った。彼は上品な黄色いスーツを着ていた。
「つまり、計画に変更はない。Aチームは正面から攻撃し、Bチームはリリアンを狙う。だが、やはり目立ちすぎる気がする……」
黒いスーツの男が言った。
「それが狙いだ。学園に軍を送り込むわけにはいかない。偽装攻撃は最も効果的な手段の一つだ」
黄色いスーツの男が答えた。
──
ひとりの少年が学園の廊下を歩いていた。黒髪に眼鏡、一年生の制服を着て、歴史の本を手に微笑んでいる。彼は一階の使用禁止となっている男子トイレに入った。
中で眼鏡を外し、髪を乱し、本を洗面台の上に置いた。個室に入り、便器を動かすと、その下にはクロスボウ、矢、そして軍用剣が隠されていた。
軍用剣は、元素を宿すために宇宙エネルギーのバッテリーを使用していた。
さらに黒い陶器の仮面を取り出し、顔に装着した──
──
三階では、別の少年が懐中時計を確認しながら歩いていた。乱れた金髪にエメラルドの瞳、そして着崩した三年生の制服。
「全員、すでに配置についているはずだ」彼はつぶやき、にやりと笑った。「生徒たちを抑え、プレフェクト委員会の動きを止める……あいつら、本当に強いのか?」
そう続けて、時計をしまった。
彼の目標は──体育館。
近くを通った女子たちには目もくれなかった。
──
「……その顔、見覚えがない」
ムーンが、いつもの低い声で言った。
ムーリンは振り返り、眉をひそめる。ムーンが言うなら、理由がある。
「了解。装備を取りにプレフェクト委員会へ行こう。不安な予感がする」
ムーリンが答えた。
──
金髪の少年は教室に入った。中にはすでに複数人がいて、全員が黒い仮面を着けていた。
「諸君……」彼は教壇へと向かいながら言った。「この場所の生徒たちを“楽しませる”のが我々の任務だ。殺害は許可されているが、アンドレイ・フォン・リアルドンの命令により、“殺してはならない”標的もいる。重傷までなら許される。だが、真の標的は別にいる。リリアンを──殺す」
彼は指を立ててカウントを始めた。
「まずVIPの一人、アリザル・レンデイラ」
一本目の指。
「次に、ムーン・フォン・リアルドン」
二本目の指を立てた。
「二人だけ? どうやって見分けるんだ?」
仮面の一人が尋ねた。
「黒と金の制服を着ている。プレフェクト委員会のメンバーだ。だから強い。女はアルビノ、男はリーダー。他の奴らは──殺していい」
一つのスーツケースが彼に渡された。中から彼は剣、短剣、そして半面の仮面を取り出した。仮面は頭蓋骨の中央部を模したもので、それを装着すると、顎部分がカチリと音を立てて固定された。
「よし……俺の名はブランザー。『マグニシディオ作戦』を開始する」
彼の仮面の顎が、声に合わせて動いた。
教団の影が再び動き出す──
新たな章、『マグニシディオ作戦』が幕を開ける。




