第24話:会長職争奪戦
プレフェクト委員会を安定させようとする中で――
オードリス校長は、アリザルとリリアンに“対決”をほぼ強制する。
穏やかに始まったはずの出来事が……
どこまでエスカレートするのか?
アカデミーでは、2年ごとに第六月にあるイベントが開催される。それは学生会長の選挙だった。
現会長はリリアン王女。再選も可能で、実際それが彼女の計画だった。しかし今回は、オードリス校長が思わぬ“サプライズ”を用意していた。
アリザルはその隣に立っていた。ふたりとも、目の前にある発表を信じられずにいた。
それは、オードリス校長からの小さな告知だった。
「選挙に変更があります。プレフェクト委員会が現学生会とアカデミーの主導権をかけて争います。アリザル・レンデイラ、そしてリリアン・フォン・アレギリアは、校長の個人的な推薦により立候補者として選ばれました。おふたりとも、健闘を祈ります。」
「……気まずいな」アリザルが沈黙を破る。
「……そうね」リリアンが返した。
* * *
オードリス校長は優雅にお茶を楽しんでいた。口元には満足げな笑みを浮かべ、その表情には確信があった。彼女は“被害者”の反応を正確に読むタイプだった。
その時、扉が勢いよく開かれた。オードリスはカップをソーサーに戻し、優雅に言った。
「私のアイデア、どうだったかしら?」
「できれば意見を言いたかったですよ、校長。」アリザルが冷たく返す。
「理由くらい聞きたいわ!」と、リリアンも声を上げる。
「楽しそうだと思ったのよ。それに、あなたたちには少し競争が必要だと思って。」オードリスはまるで子供の喧嘩を見守る大人のように言った。
「必要だったんですか? やっとプレフェクト委員会を形にしてきたところなのに……」アリザルは苛立ちを隠さずに言った。
リリアンはただアリザルを指差すばかりで、言葉が出なかった。
「これはあなたたちへの試練よ。いい? あなたたちは私の未来の柱。だけど、お互いに甘えるようじゃ、真の成長はないの。だからこの選挙で全力を尽くしてちょうだい。期限は六ヶ月。」
ふたりは校長に少し睨みを向けてから、無言でその場を後にした。
* * *
(プレフェクト委員会の執務室)
「……つまり、競争に見せかけた友情イベント、ってわけか。」アリザルの話を聞いたマルコ王子がぽつりとつぶやく。
部屋には全員が集まっていた。オードリス校長の計画はすでに共有されている。
「お前、姉さんのことを分かってないな。リリアンに友情なんて通じないぞ。」アリザルが淡々と返す。
「うん、それは……よく知ってるよ……」マルコはなにかを思い出すように視線を落とした。
「じゃあ、私たちは何をすればいいの!」ミルリが元気よく聞いた。プレフェクトの制服姿にやる気がみなぎっていた。
「今の活動を続けよう。あと、これを見て。」アリザルはキャビネットから袋を取り出し、中から空色の腕章を取り出した。
「ひとりにつき一人、見習いを選んで指導する。もちろんミルリもだ。まずは俺たち自身が“プレフェクトの価値”を明確にする必要がある。せっかくだから、今から話し合おう。」
アリザルは黒板に「プレフェクトの価値」と書き、全員で午後いっぱい議論を重ねた――。
オードリス校長は盤上に駒を置いた。
リリアン vs アリザル――
新たな編が、今まさに始まろうとしている……




